キリスト教徒の多い国ならではの「赦し」がテーマの作品。『シークレットサンシャイン』を見たときにも思ったんだけれど、キリスト教って「赦し」ありきで話が進んでいくのがめんどくさい。意味のない赦しはただの罪と劇中で語られてたけど、まさに。別に相手を赦す必要などないと思うんだけどなあ。どうせ神は沈黙しているのだから。別に被害者側が赦さなくとも、犯罪者が信仰を持つ事で赦されちゃうシステムなんだし。
そんなに赦したいのなら、自分に怒りや苦々しい思い、復讐心があること自体を受け入れるしかない。この映画が言いたいことは、そういうことなんじゃないのかなあと思った。
まーとにかく、いわゆる信者って馬の耳に念仏で、ガチガチの鎧を纏って、ほんとに表面しか見ようとしない感じが終始描かれていた。歪んだ家父長制もキリスト教そのもの。暴力が父から息子へと引き継がれるのとか、絶対にキリスト教になぞらえると思うので、監督にそこらへんのキリスト教観、すごく聞いてみたいと思って監督のプロフィールを見たら、『美術館の隣の動物園』を撮った人だった。ご本人カトリック教徒だそうで、大学の時、「赦しも時には罪になる」というような短いコラムを偶然読んで、考えが変わったことがこの話の原点らしい。 盲信せず自分なりのメッセージを入れ込んではいるよう。
とにかく、ジミンがかわいそうすぎて、ヒリヒリした。演じるナム・ジヒョンが明るいから余計につらい。ジミンが救われない暗示で終わるところの意味がもう少し明らかにされても良かったような。
ポスターがソン・ヘギョにみえず。キム・テリにしか見えない。邦題がちょっと内容とズレ気味。