ギズモバイル

空飛ぶタイヤのギズモバイルのネタバレレビュー・内容・結末

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

<ザックリ評価>
幸運にも大企業に牙を剥いて生き残った中小企業の物語。

<魅力>
・教養
・二転三転するシナリオ

<不満>
・わざとらしい地方弁

<詳しい感想>
「リコール隠し」ついて、これほどお手軽に知識が身につくコンテンツは他にあるのだろうか?テーマは「大企業の闇」と物々しいが、端的に言えば取締役から末端社員に至るまでの、己の生活を守るための保身的行動。当然それは主人公にも言えるが、大企業の方が資本主義的に圧倒的優位な立場であることと、保身に走る頭数の絶対数の差により、中小企業には論理的に勝ち目は無いと一般的にはイメージされるものの、本作では、大企業側にほんの僅かでもモラルを優先に動く、いわゆる組織にとっての「不穏分子」が存在すれば、案外脆いという現実が明らかになる。尤も、内部告発する当事者としては、組織の存亡を優先に考えての行動という理屈も成り立つが、やり方としてはトドメを刺すのも辞さないレベルの荒療治と言えるだろう。

逆に言えば、そういう獅子身中の虫が居なければ、中小企業には手も足も出ない現実も突きつけられる。1億円をチラつかされた時の社長の決断は、おそらく作中最高のクライマックスだと思うし、その判断の是非は極めて意見の分かれるところだろう。まあ、そんな感じで良く出来たストーリーだと思った。演出は月並みだったけど。社長はトップとして、金髪のニーチャンは従業員として、現実に存在するのか?ってぐらい理想的だった。