組織やひとは本能的に自己防衛を図る。組織の崩壊は結果的に自分自身の生活の破壊に繋がるからだ。そして時としてそれはモラルを超えて、犯罪となる。
組織というもののメリットは大きいけれど、構造的な欠陥を内包している事がこうした作品を観るとよく分かる。そもそも組織全体が完璧に健全な形態を取るのは論理的に不可能な気がする。組織が社会的であるということは完璧ではないなにかしらと常にリンクし続けることも意味するからだ。
こうした作品に共感し正義の側で義憤に燃えた同じひとが、平気で保身の為に小さな嘘や言い訳を語る例は日常だ。恐らく日常で出来ない事だからこそ、感動するのかもしれない。
とはいえ生活を維持する観点とは別にどこかで基準を持たないとずるずると流されてしまうし、いつかはその報いを受けるように思う。
我々が戦争になだれ込んできた歴史とこの物語で描く世界はよく見れば実は地続きの話だ。