ボブおじさん

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のボブおじさんのレビュー・感想・評価

3.9
戦時下、英国の首相になったチャーチルの苦悩を実話を元に描く歴史ドラマ。第90回アカデミー賞で2部門、ゲイリー・オールドマンに対する主演男優賞とメイク・ヘアスタイリング賞を受賞した。

第2次世界大戦中、前首相が辞任し、海軍大臣チャーチルが後任に選ばれる。そのころナチスドイツはフランスに続き、ベルギーやオランダにも侵攻。チャーチルはダンケルクにいる大勢の英軍兵をいかに脱出させるかなどの難題に挑む。この辺りの時代背景は「英国王のスピーチ」や「ダンケルク」「日の名残り」を観ていたので理解しやすかった。

オールドマンが気難しく怒りっぽい性格で、周囲を混乱させがちだが、国のリーダーとしてベストを尽くそうとするチャーチル役を熱演。アカデミー賞に輝いた、日本の辻一弘らによる精緻な特殊メイクの力も借り、内面も外見もチャーチルになり切った。まさにカメレオン俳優の面目躍如だ。

映像的には、カメラワークや逆光・照明の使い方に工夫が見られ、話の流れに合わせて光と影を上手く使い分けていた。特に演者の心理に呼応させ、同じ室内空間で照明を暖色と寒色に使い分けるなど細かい配慮が感じられた。


公開時に劇場で鑑賞した映画をBS録画にて再視聴。

〈あらすじ〉
1940年5月、イギリス。野党の攻撃を受けて辞任したチェンバレン前首相に代わり、新たに首相になったチャーチル。西欧各国へのドイツ軍の侵攻は進み、フランスのダンケルクに取り残された多数の英軍兵がいつドイツ軍に全滅させられてもおかしくない事態に。チャーチルは兵士たちをダンケルクから脱出させようと手を尽くすが、ドイツに徹底抗戦する姿勢から、イタリアを通じたドイツとの講和を主張する一部の閣僚と対立する。