螢

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男の螢のレビュー・感想・評価

3.7
チャーチルが憑依したかのようなゲイリー・オールドマンの圧巻の演技を見るための映画といった感じ。

1940年の5月9日。
ヒトラー率いるナチスによって、ヨーロッパ各国が次々に侵攻され始め、次はイギリスか、という時に、各政党の思惑もあって首相に選ばれたチャーチル。

それから、イギリスの命運を握る怒涛の四週間が始まります。

徹底抗戦か。
和平交渉という実質的降伏か。

抗戦を主張するチャーチルに対し、和平交渉を押す政敵たち。

そして、抗戦を望み、戦略の準備を整え、演説では戦意高揚のための言葉を尽くし、辣腕を振るっているようにはたからは見えながらも、その実、内心は、ひどく悩み、恐れ、揺らいでいたチャーチル。

刻一刻と悪化する戦況に、議会の波は、明らかに和平交渉へと傾いていく。
そんな時、チャーチルの背中を押したのは、彼にとって意外な人物で…。

最後の地下鉄と演説のシーンは、ちょっと出来過ぎなような気もしますが、それでも、悩み傷つきながらも決断を下した生身の人間としてのチャーチルを、本当に、憑依したように完璧に演じきったゲイリー・オールドマンに、最後まで魅せられた作品でした。
螢