チャーチルが憑依したかのようなゲイリー・オールドマンの圧巻の演技を見るための映画といった感じ。
1940年の5月9日。
ヒトラー率いるナチスによって、ヨーロッパ各国が次々に侵攻され始め、次はイギリスか、という時に、各政党の思惑もあって首相に選ばれたチャーチル。
それから、イギリスの命運を握る怒涛の四週間が始まります。
徹底抗戦か。
和平交渉という実質的降伏か。
抗戦を主張するチャーチルに対し、和平交渉を押す政敵たち。
そして、抗戦を望み、戦略の準備を整え、演説では戦意高揚のための言葉を尽くし、辣腕を振るっているようにはたからは見えながらも、その実、内心は、ひどく悩み、恐れ、揺らいでいたチャーチル。
刻一刻と悪化する戦況に、議会の波は、明らかに和平交渉へと傾いていく。
そんな時、チャーチルの背中を押したのは、彼にとって意外な人物で…。
最後の地下鉄と演説のシーンは、ちょっと出来過ぎなような気もしますが、それでも、悩み傷つきながらも決断を下した生身の人間としてのチャーチルを、本当に、憑依したように完璧に演じきったゲイリー・オールドマンに、最後まで魅せられた作品でした。