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移動都市/モータル・エンジンのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2019年のアメリカ/ニュージーランド映画。

監督は長編初監督のクリスチャン・リバース。

あらすじ

世界を60分で崩壊させた戦争から数百年後の未来、人々は荒廃した土地に資源を求めて都市を移動させ生活していた。そんな移動都市の頂点であるロンドンで史学士見習いのトム(ロバート・シーハン「バッド・ディシジョン 終わりなき悪夢のはじまり/悪夢の逃避行」)は小さな採掘都市から迷い込んだある女性へスター(ヘラ・ヒルマー「サマーチルドレン」)と出会う。

予告では「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンの〜的な感じで宣伝されてるけど、これ正確にはピージャクじゃないんだな。

ただ、その予告で「都市が動く?ハウルと動く城かよ。面白そうじゃん!」と思い、ずっと気になっていたものの評価が芳しくなかったので見送っていたんだけど、この機会にAmazon primeで鑑賞。

個人的には前評判程悪くなかったかな。

まず、先に不満点から挙げるとするならば「移動都市」とタイトルにあって、その動く都市が重要なキーになってくると思うじゃないですか?でも、観てみると思ったより移動しねぇ!!つか、あんまり関係ない!!

観る前は都市同士の対決=「喰らい合い」みたいなもんがたくさん観れるかと思いきや、あっても初っ端のみで他は結構正統派な近未来 SFものだったのはちょっとがっかり。

もっと劇中で「パシリム」みたいなガキガキしたギミックの都市のせめぎ合いみたいなもんが観れると思っていた人にとってはこの時点でモチベが薄くなってもおかしくないだろう。

あと、なんといっても主人公であるトムのバカっぷりに苛立つ。勝手にヒロイン兼もう1人の主人公であるヘスターについてってるくせに敵に不用意に見つかるわ、いらない一言言ってヘスターの怒り買うわ、中盤では文字通り足を引っ張って命の危機に晒す。

劇中何度か他のキャラクターに「バカなの?」って言われるんだけど、こんなに登場人物とシンクロして苛立つことそうそうないよ笑。

あと、最終決戦に赴く時、1人だけ時間かけてヘスター待たせたけど、お前ジャケット羽織っただけかい!カッコつけんなよ!

ただ、そういうちょっとしたイラつきポイントと都市が動かないがっかり要素があったにも関わらずそこまで面白くないわけじゃなかったのはピージャクが関わってるからか、VHXの凄じさがあったから。

近未来ロンドンの都市部をはじめ、サイバーパンク感溢れる街並みや移動都市のフォルム(途中ちょっと出てくるムカデ型の都市も良かった)、それとなんといっても飛空挺による空中戦の決め絵のカッコよさ。

ちょっと切り取っただけでもすごく絵になって、すごい連想するのがFFシリーズ(ⅦとⅩⅢを足して2で割ったような感じ)で、観ててなんか気持ち良かった。

あと、トム以外のキャラクターも良くて、ジャケットでは口元を隠した影のあるヘスターをはじめ、全身サイボーグのシュライク(スティーヴン・ラング「ワイルド・ブレイブ」)その他飛空挺乗りの面々もキャラが立っていてイイ。

ただ、個人的にはなんといってもアナ・ファン(ジヘ)のカッコよさよ!!赤いコートに全身身を包み、髪は雄々しく立たせて、独特なサングラス姿の女傑と、それこそFFシリーズに出てきてもおかしくない女アーロンなんだけど、今回吹き替え版の声優である朴璐美さんのハマりっぷりと相まって、いやぁこれが涙が出るほどカッコいい!靴につけた隠し刃でリーチを生かした戦い方で魅せるなどアクション面も良くって、なんだよ、トムなんかよりこっちを主人公にしろよと思わずにはいられないくらいインパクト抜群のキャラクターだった。

あと、エージェント・スミスことヒューゴ・ウィーヴィング(「ハクソー・リッジ」)の久々の悪役も良くて、ビジュアル面ではアナやシュライクに劣るものの対峙するロンドン市長マグナス(パトリック・マラハイド「ナショナル・シアター・ライヴ2014「ハムレット」)に「お前の考えは古臭い=恐竜だ」と言い放った後、マグナスから「じゃあ、お前はなんなんだ?」という問いに対しての返し「私か?隕石だよ」からの機関銃ダラララッ!はなんか切り返し鮮やか過ぎて見事としか言えないw

主人公とヒロインが飛空挺で抱き合うラストまで非常にFFらしく、主人公をはじめ不満点はあるものの、なんだかんだ個人的には許せちゃう作品でハードル低めに設定して観ると意外にも楽しめちゃう作品かもしれませんよ!
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