ノラネコの呑んで観るシネマ

孤狼の血のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.7
こりゃあ面白い!
東映が昭和の実録犯罪映画にディープなセルフオマージュを捧げた、快作ピカレスクムービー。
さすがに手ブレする手持ちカメラは真似なかったが、冒頭の三角マークから厳つい顔の男たち、ナレーションやテロップ、音楽の使い方に至るまでいつか観た映画的記憶が満載。
昭和が終わる前年、昭和63年を舞台に、昭和世代ほど楽しめる、いわば実録版「レディ・プレイヤー1 」w
しかもラッピングの再現だけでなく、物語の裏には、県警vs所轄vsヤクザvsヤクザという凝ったコンゲームが仕組まれており、互いに出しぬこうとする展開の面白さでも魅せる。
狐のように狡猾で、狼のように恐ろしいダーティーヒーローを、役所広司が怪演。
彼と松坂桃李はバディであり、マスターとパドワンでもあり、ソーとロキの様な腹に一物ある関係でもある。
基本の主人公は松坂桃李で、常識人である彼の視点で話が進むので観やすい。
実録物以外も、様々な要素をバランスよく組み合わせて配置した、なかなかに間口は広くて懐の深い娯楽映画。
おそらく客層はオッサンばっかりだろうが、続編も期待。
ぶっちゃけ出涸らしの様な「アウトレイジ」シリーズより、こっちの方がずっと面白いし、ヒットして欲しいぞ。
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-1138.html