けまろう

人生はシネマティック!のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

『人生はシネマティック!』鑑賞。戦時中にダンケルクが舞台のプロパガンダ映画を撮るというシナリオ。目的は戦意高揚のため。劇中劇的な面白みがあるものの、個人的には退屈を感じてしまった。爆撃が続き暗澹とした雰囲気のある現実で、せめてフィクションの世界ではハッピーエンドを求めようとする姿勢は切ないものに感じた。女性差別が平然と描かれているのも、当時の現実を反映しているようだ。
脚本家としては素人のカトリンは、代理で担当したとある広告のコピーを評価されて脚本執筆の依頼を受ける。このシナリオがかなり皮肉な部分で、カトリンにバトンが回ってきたのは、戦時中で男性の多くが徴兵されていたが故だった。つまり、彼女が映画の製作に携わることができたのは、戦争のおかげとも言える。そんな彼女が戦意高揚のために脚本を手がけるという、メタ的な構造が面白い。
映画製作は、イギリスの悪いイメージにつながる要素は一切排除するよう政府(情報省)から指導が入ったり、アメリカに軍事的支援を仰ごうとド素人のアメリカ人起用を迫られるなど、いくつかの横槍が入る。そんな困難がありつつも、カトリンは同僚のバックリーに恋をし、ロンドン空襲に傷つき、ひとりの人間として成長していく。その世界を精一杯生きることの大切さを感じる作品だ。カトリンが元彼の浮気現場に遭遇し、ロケ地まで戻ってきてから展開される、歌と月夜の海辺のシーンが個人的にはピークだった。
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