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ソウルメイト/七月と安生のこなつのレビュー・感想・評価

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
4.0
2016年中国・香港合作。「少年の君」のデレク・ツアンによる単独監督作品。デレク・ツアンは、香港出身の1979年生まれ。
中国の作家アニー・ベイビーによるネット小説を脚色して描いた青春映画。

「大好きで、大嫌いで、私の全てだったあなたに。」ポスターのキャッチフレーズは、まるで恋人に向けた言葉のよう。しかしこの作品は、幼なじみの二人の女性の物語だった。13歳で出会って明るく屈託のない関係だった二人が、大人になるにつれて社会に揉まれ、互いの気持ちがすれ違っていく様子が、移ろい行く風景と共に描かれている。たとえ一人の男性を好きになっても、二人の心の奥底にある深い友情は本物なのに、最後になってやっとお互いがどんなに大切な存在か気付いたとき、物語には予想だにしなかった結末が待っていた。

ある日、安生(アンシェン)のもとに、映画会社から連絡が届く。彼らは人気のネット小説「七月(チーユエ)と安生(アンシェン)」を映像化したいという。作者は七月(チーユエ)という名の女性だが所在不明。物語は幼なじみの女性2人の友情を描いたもので、作者の自伝的な要素が強いという。もう1人の主人公のモデル・安生(アンシェン)を探して連絡してきたのだ。そんな彼らに対して、アンシェン(チョウ・ドンユイ)は、「チーユエなんて人は知らない」と嘘をつく。だが本当はアンシェンにとってチーユエ(マー・スーチュン)は特別な存在であり、かつて2人はかけがえのない親友同士だった。やがて小説に描かれた2人の物語に秘められた驚きの真実が明らかになっていく。

駆け巡ったラストは驚きの連続。アンシェンが全てを受け入れて、チーユエにしてあげようとした覚悟が胸に迫り、中国の国民的人気女優チョウ・ドンユイの圧巻の演技に心が揺さぶられた。
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