チャンミ

恋とさよならとハワイのチャンミのレビュー・感想・評価

恋とさよならとハワイ(2017年製作の映画)
3.7
取り立てて盛り上がるドラマがあるわけでもないのに、役者たちが魅力的で引き込まれた。
たぶん、東京の東の方の、川向こうの街の、冬の、ちょっとわびしい空気と、でも人の生活が感じられるところも良かった。
綾乃彩、田村健太郎のふたりが歩くシーンは静かなのにほのかにエモーショナルで、言葉はなくても何かを想起させる。

イサムという役の、博士課程にいるのだろう研究者の煮え切らなさというのは他人事とはおもえず、何度かうるうるきた。
大学講師とか、本を出して売れてるとかでないと、文学の研究者なんて先行き不安で、結婚して子どもを産んでというライフコースをとることを想定しているだろう、一般的な人からすれば、恋人にするというのは選択されないだろうとおもう。
そういう孤独を抱えた人物と見ると、だからこそ、込み入った研究内容とは言わずとも素直に研究に向かう気持ちを話せる相手というのは貴重で、だからリンコに対する煮え切らなさというのも想像できるというか。
リンコもリンコで、かつて演劇をやっていたというのだから、イサムと分かちがたい何かがあったんだろうと想像する。

まあ、だからこそ、年下の研究者たまごなカスミに揺れるんでしょうけど、ずるいなーの一言には終わらせられない切なさがあった。

テーマなので仕方ないとは言え、女の子たちが恋の話しかしてないのは、惜しいかなあ。
リンコはお金がなくて引っ越せない点に、女性が稼げない問題が含まれてる気がしたけど、イサムだって学生でお金ないはずなのに家を借りられてて、え? 学振とかもらってるかんじ? とか考えてしまった。
ああ、でもそれも方便ってことかな。
チャンミ

チャンミ