mさん

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のmさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

報道の役割や信念を感じることができた。
それだけでなく会社のトップが女性なので同時にウーマンリブパワー的なメッセージも感じることができた。ただ少し退屈だった。ラストも理解できないし、知識がない人にすごく不親切な作りだった。

報道とは国家ではなく国民に奉仕するものだ。
すごくいい台詞だったし、法廷にいた政府のエージェントの女性が「私の兄が戦争に出てる」というシーンで、彼らはこういう人たちの希望になろうとしてるんだ、決して政府の鼻を明かそうとしてるだけじゃないんだ。と感じることができた。唯一市民というか新聞を読む側の視点がここにあったのでよかった。欲を言えばもうちょっと新聞をみんなが読むカットとかを入れて欲しかったけど。

同時にウーマンリブパワーも感じる。ただ今回の女性は映画当初から新聞社ポストの社長で、既に権力とか立場強いとかで厳密にはウーマンリブパワーじゃないのかもしれないけど、それでも確実に映画を通じて彼女が強く見えてくる作りにはなってた。最初はパーティーばっかり出て、たわいもない会話で盛り上がる部分ばかり見えてたけど
最後はしっかりと法廷に立って、出てくる時に沢山の女性から憧れの眼差しを受けている。更に演説をラストまでしっかりさせない作りになってるのも面白かった。「演説する女性は後ろ足だけで歩く犬のようにうまく話せない」というセリフがあって、それが当時の女性観を表現してて、実際彼女は演説するメモを持ってはいるが、緊張?で他の男性に代弁してもらったり、パーティーでの演説も緊急の電話で中断されてしまっている。それでも最後新聞を本当に印刷するかどうかで、周りの役員を前に毅然とした態度でポストが持つ精神性を語ったので、一つの作品の中でも成長が感じられた。

長回しが多くて結構カメラがぬるぬる動く。演劇を見てるかのようだった。

ここまではいいんだけど、もっとエンターテイメント性に富んだ作りをして欲しかった。とにかく映画が1番やっちゃいけない「今何が起こっているのか、これからどうなるのかが全く分からず観客を置いてきぼりにする」をしてたから。
とにかくたくさんの登場人物が出てるのに説明がないし、何を今してるのか、なんでしてるのかも分からない。あと電話越しで相手が見えない会話が多いから、余計にわからなくなる。

だからつまらなく見えてしまった。
新聞社が割と序盤で機密文書を手にしてそれをグダグダどうするどうするってやってて最後に結局公表したっていう印象になってしまう。実際そんなわけなくて、しっかりその間に葛藤やら、それぞれの思惑やらが複雑に絡んだりして物語はずっと動き続けてたんだと思う。けどわからなかった。置いてけぼりになって遠くに吹き飛ばされた結果、ぼんやりとしかみれなくなって何も進んでないように思えてしまって退屈だった。

なんか時事系の映画だから難しいのかなって思ったけど、マネーショートとかすごくわかりやすかったんだよな…
mさん

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