さうすぽー

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のさうすぽーのレビュー・感想・評価

3.8
自己満足点 76点

今年公開された巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の社会派映画ですね。

ノンフィクションの顔も持つ彼の作品は観たもの全て好きなのですが、正直この映画は内容にあんまり興味がひかれずスルーしていました。
と言うのも、ベトナム戦争や当時のアメリカ情勢をそんなに知っているわけでもなく、新聞社内部のこともそんなに興味が無かったというのが理由です。

ですが、「シンドラーのリスト」や「キャッチミーイフユーキャン」等の名作を作ったあのお方なら大丈夫かなと思って観たのですが、想像以上に良かったです!

今年のもう一つの映画「レディ・プレイヤー1」も好きな作品なのですが、これはまたしても良い映画だと思いました!

とは言え、最初はあんまり知らないようなアメリカ情勢や新聞社の内部の描写が多かったので、最初は取っつきにくかったです。
だから最初の20,30分くらいは退屈だったのですが、映画最大の鍵となる「ペンタゴンペーバーズ」が本格的に現れてから面白くなりました。
正直結構ハラハラしました!

この「ペンタゴンペーバーズ」というのはベトナム戦争関連の機密文書で、ケネディ含めた大統領達がひた隠しにしていたもの。
その内容と来たらネタバレになるので言えませんが、まぁ腹が立ちました!

そして、その機密文書がある男によって告発的に漏洩されました(そういえばありましたね、日本でも最近似たような事が)。そこから新聞社と政府との対立が描かれるのかと思いきや、意外にも新聞社の内部での緊迫感溢れるやり取りの方が多かったです。

メリル・ストリープ演じる実在の新聞社ワシントン・ポストの新聞社主、いわばトップの人ですね。
そして、トム・ハンクス演じる同じ新聞社の編集主幹、いわば記者のリーダー。
この二人が主人公なのですが、その他のキャラクターにも活躍があってそれぞれが興味深い人物が多かったです。

また、メリル・ストリープとトム・ハンクスの二人の演技は本当に素晴らしいです!
ノンフィクションというジャンルでありながら、ドキュメンタリーを観てるかのような自然な台詞回しが多くて引き込まれました。
改めて名優達は凄いなと感じた瞬間です。

二人の後半の(少しネタバレしてしまいますが)、機密文書を巡って発表の有無を巡って緊迫感のあるやり取りが見られるのですが、これを発表するというのは政府を敵に回すのと同じで、実際に各新聞社に圧力がかかり始めます。
メリル・ストリープは新聞社を守りたいためにその「決断」に物凄く重圧がかかります。回りからも反対されながら、それでもトム・ハンクスの身を投げてでも発表させてほしいという強い意志に影響される姿は本当に緊迫感があります。

ただ、先程も言ったように機密文書のリークをもう少し早く描いてほしかったという気持ちがあります。
冒頭の新聞社内部の説明が結構長く感じました。

そして、もし自分が批評家であるなら90点くらい付ける程完成度は高いと思うのですが、正直僕は凄く好きとまではなりませんでした。

ですが、それでもこの映画は観てほしいと思っています。
スピルバーグ氏は「この映画は我々のツイートのようなもの」と言っていたのですが、素晴らしいツイートなので観てない方に「拡散」したいです!