ゆみゆみ

パレードのゆみゆみのレビュー・感想・評価

パレード(2010年製作の映画)
4.0
昨日誕生日だったんで、とりあえず自分の好きな俳優の映画でも観ようと無理矢理時間作って観た。
なんていうか、いいよこれ。
役者が上手いから、それだけで観てられる。

【あらすじ】
都会の片隅のマンションの一室。
規律正しく自制して生きるサラリーマン伊原直樹(藤原竜也)
酒に飲まれがちな寂しい自称イラストレーター相馬未来(香里奈)
俳優の彼氏の愛に依存する無職大河内琴美(貫地谷しほり)
先輩の彼女に横恋慕する大学生杉本良介(小出恵介)
4人が共同生活している部屋にある日突然現れる謎の美少年小窪サトル(林遣都)
少し奇妙だけど、ありそうな共同生活を追っていくと意外な結末に辿り着く

人間の中の必ず持ち合わせる二面性を描いている。観てて苦しくなるのは自分の中の同じものを見つけるからかもしれない。
原作未読だけど、読んでみたくなった。
エピソードの絡め方がホントに秀逸で、テンポがいいのはこのお陰。こういう本を書く人ってホントに尊敬する。


****ネタバレします****













前情報なしで観る。
初っ端の琴美と良介の会話でこの世界観が決まっている。めちゃくちゃ緩くて、それでいて暇そうな二人にある種の悲壮感を感じる。この二人がどう言う関係なのかはわからないけど、恋愛関係にないのが雰囲気でわかる。これも凄い。あとあと琴美に彼氏がいるのがわかってくるんだけど。
ここに直樹や未来が加わっていくと、この4人で暮らしてんだなってわかってくる。そこへ現れる謎の美少年。サトルは男娼ってことだったけど、その部分は相当薄めで描かれてる。おそらく男娼仲間の男の子(森崎ウィン)と二人して細い体で公園に座って喋っていると、おっさんが現れてサトルの尻などを確認するように撫で回す。気に入らなかったのか立ち去るおっさんに興味もなさそうにまた二人が喋り出す。
うーん。この虚無感。虚無感はこっちの気持ちで、二人はそれが日常なんだという風でなんでもない顔をしている。

それぞれの裏の顔を垣間見せる場面で、他の誰かがこっそりと見ている訳だけど。隠してる顔な訳だから、もちろんこっそり、もしくは偶然なんだけど、その秘部感が見てるこっちの心を突く。見てはいけないもの、知ってはいけないものを見る。そういうの人間は大好きでしょ?そういう自分自身のある意味で嫌な面も見せつけられる。

それぞれなんでそうなったのかっていうことをちゃんとは説明しない。事実だけを見せていく。なんでそうなったのかを知りたい欲求が高まるけど、ラストの直樹の裏の顔を知った後でも、他の4人の態度に変わりなくて、それを見たらあぁそうかと自分の中の焦燥もおさまる気がした。
これを共感と呼ぶのかわからないけど、何かしら自分の中にあるものに触れた気がした。
評価はさほどだねぇ。
私はこういうの好きだけどね。
ゆみゆみ

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