ノラネコの呑んで観るシネマ

リバーズ・エッジのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
4.8
鮮烈!
岡崎京子の傑作を、色んな意味でよくぞここまで映像化した。
閉塞した日常を送る6人の高校生。
彼らが抱えるのは、同性愛、摂食障害、一方通行の愛、暴力衝動、妊娠、etc。
それぞれが抱える痛々しい青春の衝動が事件を起こし、生きるとはどういうことかを問いかけてくる。
6人の中で、軸となる二階堂ふみだけが、特に大きな葛藤を感じておらず、ニュートラルなポジション。
他の5人はそれぞれの視点で生と死を体感するのだが、観察者の彼女はそのまま観客の目となり、同時に観客も彼女と共に考える。
瀬戸山美咲による脚色が実に巧みだ。
原作はバブル崩壊直後の時代に描かれたが、映画はあえてここが何年と言う時代設定に言及はない。
携帯電話は出てこず、それ故にお互いの想いがすれ違う物語構造。
まあ、青春の痛みなんて何時の時代も普遍的なものだから、25年のズレは特に感じない。
というか、社会自体があまり変わってないのかも。
性衝動と食べ物の対照性演出はちょい「アデル、ブルーは熱い色」を思い出した。
スタンダードの画面の意味、キャラの劇中インビューのアイデアも面白い。
行定監督にとっても新たな代表作になるのでは。
しかし漫画の映画化といってもコスプレ系じゃないのに、キャラの再現度メッチャ高いな。
ブログ記事:
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