回想シーンでご飯3杯いける

リバーズ・エッジの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)
3.5
原作未読。現在公開中の日本版「SUNNY」と、この「リバーズ・エッジ」は、共に'90年代の高校生を描く群像劇であり、主題曲が小沢健二という共通点がある。韓国映画のリメイクと日本のコミックの実写化という事で、比較するのはおかしいのかもしれないけど、いやー、これほど描き出される世界が違うものかと驚いてしまう。

正直に言えば「Sunny」で描かれている'90年代の光景は、大人が客観視点で描いたステロタイプなものにしか見えず、むしろ気恥ずかしさや反感しか湧かなかった。それに対して、この「リバーズ・エッジ」は、かなり突飛な人物ばかりで共感できる要素はさほど無いのだけれど、描き方が真摯で、時代を美化するでもなく、映画として真っ当に作られているから、自分の世代や、'90年代当時の過ごし方に関係なく、自然と引き込まれるのだ。

監督は行定勲。古くは「GO」や「きょうのできごと」等、小説を原作に持つ青春群像劇を巧みな演出で映像化し、高い評価を得てきた人物である。恐らくは、原作をかなり端折った構成になっているのだろうが、それでも尚、無理に詰め込むことをせず、選び抜かれた台詞、あるいは沈黙を織り込み、登場人物の虚無や葛藤を見事に描き出している。