木葉

ハートストーンの木葉のレビュー・感想・評価

ハートストーン(2016年製作の映画)
4.1
どうにもならない厳しい環境、大事に閉まってきた親友への想い、ゲイであることの後ろめたさ。誰にも気持ちを吐露できないもどかしさ。繊細なタッチで描かれている。
なんだか、切なすぎて、痛すぎて、歯痒くて、じれったくて、グサリともきて、涙が出て来た。
アイスランドの青春映画だがLGBTの映画であるから重たいが、みずみずしい映画だ。
少年たちの瞳、まつげ、肌、荒波の海、崖、山、荒涼とした荒地、羊や、馬、鳥、魚。
思春期、恋の芽生え、性へのめざめ、自我の確立、フラストレーション、多感になる時を雄大なる自然と共に丁寧に映し出す。
自然と人の優しさが時に一変して残酷に変わることを少年たちを通して教えてくれる。そして少年たちの目から映る大人たちも皆保守的で、やりきれない感情を抱えている。
ゲイの少年のまぶいくらいに透き通った心。
やはり、閉塞感溢れる村ではLGBTの概念は受け入れられない。ゲイであると分かった途端、差別され引っ越すことを余儀なくされる。
人を好きになることは、誰にも分からなくたっていい。想いビトとのじゃれあった時間、自分だけの真摯たる想い、いつまでも、胸に閉まっておくことができたらいい。厳しい環境の中でも人知れず、誰かを想う、慕う、温かい心を失わなければ、人は生きていけるのかもしれない。
主人公の2人には、何があっても強い絆があった。互いを認め合える存在、がいたら、それだけでいいのかもしれない。
少年2人の表情が何とも言えないくらい素晴らしく、切なく、秀逸な描き方の青春映画であった。
木葉

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