ハートストーン(2016年製作の映画)

Hjartasteinn/Heartstone

上映日:2017年07月15日

製作国:
  • アイスランド
  • デンマーク
  • / 上映時間:129分
    監督
    グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン
    脚本
    グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン
    キャスト
    バルドル・エイナルソン
    ブラーイル・ヒンリクソン
    Diljá Valsdóttir
    Katla Njálsdóttir
    ニーナ・ドッグ・フィリップスドッティル
    スベイン・オラフル・グンナルソン
    あらすじ
    東アイスランドの雄大で美しい自然が広がる漁村。ソールとクリスティアンは幼なじみで何をするのも一緒の大親友。思春期にさしかかり、ソールは大人びた美少女ベータに夢中になる。一方、クリスティアンはそんなソールの気持ちを知り上手くいくよう後押しするものの、内に秘めた親友への特別な感情に気づき当惑する―

    「ハートストーン」に投稿された感想・評価

    主役は少年2人だけど周囲にいる少女や大人たちも脇役と言ったら失礼なくらいに描き方が深い。

    家の外で腐っていく魚、用がなくなり燃やされる羊、踏み潰されるカサゴ、水面は輝いてるのに水中は濁っている湖…。
    美しい隠喩表現から言語化できない感情を知らぬまに焚きつけられていく。

    人が住んでいることが不自然ほどの大自然に囲まれていても、少年たちが興奮する遊び場は錆びて朽ちた自動車がたくさんある廃車置場。
    (馬は乗れても)免許がないから運転はできない彼らの大人への憧れ、退廃的なものへの憧れ。
    都市部の人間が心から憧れるほどの大自然でも彼らとってはただつまらない風景。
    それでも孤独や悲しみ、悔しさを吐露して受け入れてくれるのも大自然でしかない。


    クリスティアンの母が印象的。
    前半ではDV夫に悩む弱者としての母だったのが、終盤、ドアを破るようにノックする描写からは彼女の過干渉性が見られた。
    クリスティアンを追い詰めていたのは男性性を強く求める父や周囲の男たちだけではなく、クリスティアンを〝理想の息子〟にしたかった母からの無言の脅迫もあったのではないかと思わせる。

    まだまだ恋愛したくて夜な夜な遊びに出てる母と、母の女性性に嫌悪感を隠さない子供たちの対比も面白かった。
    何度も爆発するように喧嘩する家族だけど、これだけ素直に感情ぶつけあえるってのはむしろ健全な姿かと。


    あと面白かったのは、ハフちゃん。
    腐女子のハフちゃんは多技能で、絵も描くし詩も読むしダンスも踊る。
    そしていよいよとなったらカード占いまでするんだもん。

    姉妹のラケルちゃんは直球型で誰に対しても態度を変えないけど、ハフちゃんは親の前では優等生ぶったりもするしたたかな一面も。

    スピンオフはハフちゃん主役でお願い致します。



    ラストのカサゴのキャッチア&リリースは泣けた。
    冒頭とまったく同じことをまだやっているある少年と、それを見つめるソールの眼差しが印象的でした。
    labot
    3.8
    --- 群の外へ ---

    アイスランドと、日本の、特に東北地方の気質はとても似ていると東北出身の自分は感じた。同じ島国である他、東北の秋から冬にかけての厚い雲に覆われた薄暗い空、長い冬と寒々しく広大な自然、痴情が知れ渡るほどの限られたコミュニティと平均化された価値観。アイスランドの最大の魅力と言える自然も手放しに美しいとは言え無いのだ。

    今作の、プラスよりもマイナスの感情ほど容易に連帯感を生み出す気持ち悪さは絶妙。そして生命の恩恵を全面に受けているからこそ、生命に対して鈍感になるあの感覚もなんだか覚えがあった。こどもの遊びや関係性はとても本能的で残酷。何かを捕食し、自分の優位に立とうと駆り立てられる食物連鎖が本能的に繰り広げられる。そうすることで男達が自分の存在を確認している間、ソールの姉達やベータは一歩先を行き異質を受容する。女性は強いですね。

    魚も羊も群れを成して生きていくわけだけど、群れから離れた物は身を守る盾を失い、一瞬にして標的となる。ただそれが死に直結するかはどうかはわからない。無いものは無いなりの生き方が自然と備わっていく。そんな群れから離れたクリスティアンに親愛の証を示すことができる二人の関係性がとても尊く、羨望の眼差しでスクリーンを見つめた。おでこのキスは、親愛の証。

    群れから離れた者たちが総じてレイキャビクに引っ越していくが、やはり一度はみ出してしまった者が生きていく最良の環境は、他人に無関心な都心なのだろうな。ただ、それが悪い結果だとは決して思わない。

    カサゴは美味いぞ。
    なかなかの秀作だった
    こっちまで恥ずかしくなるようなシーンを平気で撮っちゃう監督に拍手
    テレビもネットもほとんど出てこない世界で彼らの生活は"本来の人間の生"に徹される
    生きるというのはこういうことなのか
    hitomi
    3.8
    初めはソールの大人びてる姿が可愛く惹かれたが、観終わったあとはクリスティアンの切ない表情が忘れられない。
    アイスランドの自然の美しさに感動するとともに、そこに暮らす人々の生き辛さも感じた。
    クリスティアンの孤独、ソールの葛藤、どうかその苦しみを超えて立派な大人になってほしいと思った。
    2017年144本目
    ます
    4.6
    いいシーンやカットがたくさんある
    ただ観終わった後ぐったりした
    冒頭のカサゴが、本編を通して
    それから最後の最後で効いてくる
    思春期の少年少女の恋模様と大人に近づく性に一歩踏み出し始める。
    親友から愛しい人へと眼差しが変化していく様が喜びとと共にすぐ悲しみに変わる。

    息苦しくてどうしようもないこの気持ちを解決するのは時間と自然の力しかないのかな。
    誰にだって失恋はあるものよ
    mayuko
    3.8
    魚とか鳥の死骸のシーンがよかった
    muratamar
    4.2
    雄大な景色と繊細な感情がずっと美しい。池のなかでクリスティが叫ぶシーンが印象に残ってる。
    キナ
    3.0
    村全体に漂う退廃感と閉塞感の中で幼く酸っぱい恋模様と友情関係がゆるゆると展開していく、そのコントラストが絶妙だった。
    動物の死骸が頻繁に出てきたり、廃車をガンガン殴りつけたりの演出はちょっとドキッとする。

    性に敏感で枠から少し飛び出してみたいような10代前半の疼きがもどかしく表現されていたのが好き。
    私はこんな密な関係は結べなかったなーなんて思いながら時に微笑ましく時に胸を痛めながら観ていた。

    絵のモデルになった二人の姿が美しくて、ソールを見つめるクリスティアンの目付きが恋しさと切なさに溢れててこちらも苦しくなる。
    湖や厩舎で声を上げて泣くシーンは特に。彼の身になってみれば気も狂いそうになるわ…

    細かいシーンで好きなところは多いんだけど、沈みがちな空気とかなり緩やかな展開は少し退屈にも思えた。
    大人や年上組に少しイラっとしてしまうことも度々あっり、終盤の事件もなんだかなーな結びになるし、正直ラストまで心揺さぶられるようなことはなかった。

    この後の二人への余白が少し残るのでなんだか考え込んでしまいそう。
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