たけひろ

ハートストーンのたけひろのレビュー・感想・評価

ハートストーン(2016年製作の映画)
5.0
予備知識の全く無いままで観られて良かった。

タイトルからは何も読み取れず、物語の途中までは、これは一体、何を主題とした作品なのだろうと、ずっと探りながら観ていたのだけれど、ああ、そうかとわかってからは、アイスランドでの美しい映像とあいまって、痛みを伴った繊細な物語に、ぐいぐいと惹き込まれた。

振り返ると、残酷な仕打ちを受けた生き物たちは皆、メタファーだったのだなと気づかされる。

期待外れだったからといって、口の中に唾を吐かれた上に、踏み潰されてしまうカサゴ。

捕まえられたにも関わらず、食べられることなく腐ってゆく魚。

自らの脚を食いちぎらなければ、逃げられなかった鳥。

野犬に襲われた挙句、銃殺されてしまう羊。

そして、閉鎖的で差別的な土地の現実に抗い切れず、身も心も傷つき、追い詰められ、引き裂かれてしまう、ソールとクリスティアン。

その切ない別れに、涙した。

しかし

「会いに行くよ」

の一言に救われた。

少年から大人へと成長したソールは、きっと、広い世界へと飛び出してゆくのだろうと、未来を感じさせられるラストシーンだった。

真実か、挑戦か。

(ただ、エモーショナルな名シーンではあったけれど、他人の子供にあんな命懸けで鳥の卵を取らせるか普通、と、あの親父にはツッコミを入れざるを得なかった)
たけひろ

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