母国では映画監督との不倫が取りざたされている韓国人の女優で、世間の関心から逃れるために友人のジヨンを頼ってドイツのハンブルグへと訪れたヨンヒ。喧騒から離れた外国でのひとときで癒しを得た後に韓国へと戻った彼女が、心配する友人たちとの交流や女優復帰、不倫相手との再会で心を揺さぶられていく様を描いたドラマ映画です。
デビュー作から順調にキャリアを積み重ねたホン・サンスが『正しい日 間違えた日』での協働をきっかけに始まった女優キム・ミニとの不倫発覚後に公開した2017年公開の作品で、渦中のキム・ミニを主演に据えた物語と振る舞いが母国でバッシングを受けながらベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞するなど支持を得る海外で好評を集めました。
自身が直面する問題をウォルト・ホイットマンの詩と同じ英題の物語で表現するホン・サンスらしい作品で、世間の雑音から離れて禅問答の様に自問自答する様を暗喩します。見ようによってはあざとく言い訳めいてはいてもそれは生きる上で必要な術であり、素晴らしい存在感を見せるキム・ミニの目線とする事で説得力をもたらす一作です。