安堵霊タラコフスキー

夜の浜辺でひとりの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)
3.7
期待したものとは少し違っていたけど、不思議さのせいで変わった印象の残る映画となった。

というのも、この映画に一人謎の男が登場して奇妙な行動を取るのだけど、そいつが出てくるシーンはさながらブニュエルの自由の幻想みたいな異質さが面白かった。

不思議といえばヨーロッパの何処か(おそらくドイツかそこらへん)の暮らしを映していたかと思ったら唐突に劇中劇のようにして終わって、まるで無気力症シンドロームのような構成で面食らったけれども、もしオマージュとして意図的にやったのだとしたらホン・サンスも中々にマニアックだな。

それ以外はいつものホン・サンス映画に飲みのシーンを割り増ししたような具合だったけど、タイトルに浜辺(beach)ってあるのに浜辺のシーンや外の景色が映るシーンが思いの外少なかったのは拍子抜けで、浜辺は相変わらず綺麗に映っていたとはいえもっと見たかった気持ちの方が勝ってしまった。

でもこんな気持ちになるのはホン・サンスという映画監督が良い映像を撮れることを知っているからで、それはつまり期待してるってことなんだよな。