えみ

STAR SAND 星砂物語のえみのレビュー・感想・評価

STAR SAND 星砂物語(2017年製作の映画)
3.5
坂本龍一音楽シリーズ。戦メリ以来の友人という本作の監督からの依頼で引き受けたという、主題歌「STAR SAND」。作品の幻想的で儚い雰囲気を見事に繊細なメロディーと音色に乗せていて、素晴らしかった。

作品は、今までにない雰囲気の戦争映画で、不思議な感じだった。作者と監督がアメリカ人と聞いて、なんとなく納得。戦メリの小さな姉妹作っぽくしたいという監督の希望もあって坂本龍一に楽曲提供依頼したとのことだったけど、確かに戦メリに近い雰囲気はあったかも。戦争映画だけど独特の視点で不思議な感じが。
これノンフィクションだったらすごいなと思ったけど流石にフィクションだった。でもお涙頂戴感とかは全然なくて、なかなか見応えのあるストーリー。ところどころ涙ぐんでしまった。原作も読んでみたい。

生々しいシーンもほとんどないし、お金全然かかってなさそうなのに、反戦、平和への祈りが一貫して語りかけるように伝わってくる良い映画だった。

国より大事なものなんてない?そんな誤った大義が、本作での岩渕兄弟がそうだったように、人を狂わせる。むしろ国より大事なものしかこの世界には無いよ。
島のおばさんがヒロミに「私たちにはなんの罪もないんだから」って言う。この時代の人たちはそうだったのかもしれない。けど、今この時代に戦争が起きたら、私たち国民に罪はないと言えるだろうか?その国に生きる一人一人の生活や命に想像を至らせず、ゲーム感覚で敵対感情を煽り合う国のトップを放置して傍観し半ば嘲笑する国民たち。そんなトップを選んでそのままにしてるのは国民だ。私たちはまた、加害者になり、被害者になるのだろうか。

多くの先人達の犠牲を、無意味なものにしちゃいけない。


満島真之介、良い演技だった。主役の子も真っ直ぐな演技がとても印象的。吉岡里帆はこういう演技もできるんだね、ほんとにフツーのあんまり印象良くない子って感じで別人かと思った。そして寺島しのぶは流石すぎた・・・グッと引き込まれた。戦争体験者の痛みが彼女に乗り移ったかのようだった。
三浦貴大は顔がちゃんと写ってないのもあって最後まで誰だかわかんなかったけど、演技めっちゃうまかった。
えみ

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