てるる

パンジャブ・ハイのてるるのレビュー・感想・評価

パンジャブ・ハイ(2016年製作の映画)
4.0
ドラッグが蔓延るパンジャブ。
麻薬に関わる人々の群像劇。

ドラッグをファッションかのように消費するポップスター。
それに憧れて麻薬に溺れる若者たち。
女性に麻薬を打ち、レイプするクズ野郎ども。

「RRR」の女神シータことアーリヤー・バットちゃんがとんでもなく酷い目に遭うのが観ててツラい。

一時的な快楽がその身を滅ぼす。
それだけでなく家族や周りをも壊す。
そしてそれを利用する権力側の腐敗。

ドラッグの怖さを疑似体験する意味では「レクイエム・フォー・ドリーム」が1番だったけど、この映画もなかなかのもの。

重苦しい映画ではあるものの、シャーヒド・カプール演じるポップスター・ガブルことトミー・シンが雰囲気を軽やかにしてくれる。

LIVEシーンはリアルな盛り上がりだし、ちょっとバカッぽいところが憎めないし、何より後半の彼は応援せざるを得ない。

カリーナ・カプールはヤク中の人を更生させようとする女医役で、さすがのベテラン感。
権力とドラッグの関係を暴こうとする警察官との関係良かったのにな。

ラストは怒涛の展開で目が離せなくなったし、無関係の人達が最後に収束していく感じも好きだった。

オープニングでこの映画はフィクションであると断りが入るけど、実際にパンジャブ地方では麻薬に依存する若者が多いらしく、家族のうち誰かしらは麻薬常習者とも言われているらしい。

こういう社会問題を真っ直ぐに描きつつ、映画としてエンタメの要素も忘れないインド映画はやっぱりすげぇとしか。
インド映画の新たな一面を見た。

ちなみにプロデューサーの1人は「まばたかない瞳」で極悪人を演じてたアヌラーグ・カシャップ。
俳優も監督もプロデューサーとしても一流ってとんでもないな。

ネットフリックスで明日までの配信らしいので、可能であれば観ることをオススメします!
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