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心と体とのeyeのネタバレレビュー・内容・結末

心と体と(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

"心と体と"(2018)

タイトルにある

"心と体と"

心身医学の基盤については
とても歴史が古い

元々は精神分析や行動分析から
成り立っていて

この物語も掘り下げていくと

"性の葛藤・欲望"

が描かれている

ある意味

"心と体"における

バランスの取り方を教えてくれる

C.G.ユングの唱えた

個人的無意識
集合的無意識

両方の概念を
落とし込んだ映画とも言える

人々の深層心理を

"夢と現実"

という形で表現している

発達障害を持つマーリア
腕が使えないエンドレ

孤独な2人は
現実では職場の主従関係

一方で同じ夢を見ている

夢の中で2匹の雄・雌鹿になる

2人(匹)は寄り添いながらも
近づいたり離れたりする

孤独の対極にある親密

無意識の中で起きる現象が
現実世界の情動の基盤として

またそれは

想像力や生命力の源でもある

鹿の2匹は雪山で何もとらわれず
自由にありのまま生きている

戯れる姿は時として
幻想的な姿にも見える

現実では不器用な姿から
嫉妬や葛藤が描かれている

食肉用の牛が解体されて流れる血

マーリアが自身を傷つけて流す血

現実世界で生きていることを
リアルに伝えている

マーリアはLaura Marlingが歌う
『What He Wrote』に共感する

この歌の前半部分は

愛に対する葛藤からの
虚無的な気持ちが歌われ

そこに引っ張られたマーリアは
自殺未遂を起こす

この歌のラスト

自分なりの価値観を尊重して生きることを教えてくれる

夢で繋がっていた2人が
現実で肉体的結合を持ったあとは

もう鹿の夢を見ることはない

お互いに近づいたことで
現実から一歩大きく踏み出し

あいかわらず不器用だけど
更に未来へ踏み出そうとする

等身大の姿で静かに穏やかな
気持ちのまま物語は終了する

人の想像力や
自然が持つ圧倒的な透明感

いろんな不器用さや滑稽さ

それらを

寓話的な要素の中で展開されつつ
神秘的な余韻を残してくれる

2人の人生はこれから始まる
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