ーこの世に人生より素晴らしいものはない。みんな気づかないけれどー
夫のDVから逃れるために息子ヴァレリオと共にトリノにいる友人カルラのもとへやってきたアンナ。慣れない街でゼロからのスタート。アンナの仕事探し、ヴァレリオの抱える孤独、そんな彼らの日々をとても丁寧に描いている。
下手をすれば退屈になってしまいそうなほどリアルな「日常」が描かれていて、辛い出来事もあり、むしろ上手くいかないことの方が多いのだけれど、不思議と飽きることなど全くなく、このままずっと観ていたいと思うほど心地良い時間だった。映像も音楽も美しく、一人一人の心情が痛いほど伝わってきて胸に沁みた。
陽気なカルラといつも見守ってくれるカフェ店長のマチューがまた素敵。
そしてヴァレリオの幼い初恋も。
最後に登る気球と共に流れる歌声がやっと動き出した前への一歩を後押ししてくれるようでとても力強かった。
