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しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのlily0x0のレビュー・感想・評価

4.1
2018見逃し作品!
有名なカナダのフォーク画家モードルイスさんの半生を描いた作品。
サリーホーキンスとイーサンホークの演技が素晴らしかった。
本物の夫婦のようでした。
インタビューで言ってましたが、サリーホーキンスはアシュリング監督からこの映画の依頼が来た時、窓際で笑うモード本人の笑顔の写真を見て、即決したそうですね。
台本を読むまでもなかったと言っていました。
小さい頃から重いリウマチを患い家族からも厄介者扱いされて、子供まで奪われるなど、辛い思いをしてきたとは思えないほどの、優しくて暖かで幸せそうな笑顔のその写真を、私も映画鑑賞後に見て思わず涙が出ました。
そして本編だけでもとても感動したのに映画の最後に出てくる本人たちの映像がずるい。
この映画のように想い合う夫婦が確かに実在したのだとしっかり分からされて、さらに感動が増したのでした。

サリーホーキンスはリウマチを患い、娘も奪われて、家族からも良く思われていなかったというはみ出し者、イーサンホークも孤児院出身で親の愛を知らない頑固なはみ出し者の役。
2人の出会いは決してロマンチックなものではなく、雇い主と家政婦という関係でしたが、それが長いこと一緒に過ごしていくうちに自然とお互いの傷や心の隙間を埋め合っていて必要不可欠な存在になっていたのでした。
特にすごく妻を愛しているんだって自分で分かってからのイーサンホークには泣かされました。
頑固で不器用な彼だけど娘探してあげたり付き添ってゆっくり歩いたり、だんだん不自由になっていく彼女をそばで静かに支えていく姿に深い愛情を感じました。
不幸な境遇なはずのモードだったけど、あの笑顔の写真や彼女が描く絵からは、幸せしか感じられなかったです。
彼に愛されていると分かっていた彼女は本当に幸せだったんだと思いました。
絵の才能も大切かもしれないけど、彼の愛を受けて幸せに穏やかに過ごしていた彼女が描く絵だからこそ、人々の心に届いたのではないでしょうか。
心が温まる素晴らしい作品でした。
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