Inagaquilala

劇場版 お前はまだグンマを知らないのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.6
実際の群馬県人には知り合いも多いので、思い切りグンマ方向にシンパシーの舵を切りながら観ていたのだが、それでもここで描かれる「グンマ」には、大声を出して何度も笑ってしまった。

「グンマ」の人たちにとってはかなり自虐的なギャグの応酬なのだが、それでもまだ自分たちの郷土には愛着を持っていると確信した。それほど「グンマ」の人たちの心は強い。

アカギおろしが吹きすさぶなか、チバから転校してきた間宮祥太朗扮する主人公・神月紀は、強風を物ともせず自転車で進むツンデレな女子高生・篠崎京に心を動かされる。学校に着き教室に顔を出すと、そこには先ほどひと目惚れした京も。転校生神月は、教室を支配するグンマな同級生たちにカルチャーショックを受けながらも、京への思いを募らせていく。

上州(群馬)名物「かかあ天下とからっ風」というくらい、グンマの女性たちは強いと言われているが、京もそれに漏れず、彼女に視線を向ける神月に対して変態呼ばわりまでする始末。果たして、神月の思いは遂げられるのか、そして「ニッポン最後の秘境」と言われるグンマに馴染むことはできるのか。

「帝一の國」で主人公に対抗する美丈夫なライバルを演じた間宮祥太朗が、この作品ではうってかわってかなり三枚目的な、顔をくしゃくしゃにしながらのコミカルな演技に挑戦している。作品自体がギャグ満載のものなので、必然的に演技もやや過剰気味にはなるのだが、間宮はこれを程よくこなしている。なかなかに演技の幅はあるようだ。「帝一の國」で注目していたのだが、今後も大いに期待できる。

作品のつくりは、少しの躊躇もなくひたすらコメディで突き進んでおり、胸のすく思いだ。ヒロイン京のサービスカットもきちんと押さえており、とにかく上映時間めいっぱい楽しめる作品になっている。

同級生たちでどう見ても高校生には見えないキャラクターも登場するが、それはそれでご愛嬌だ。こんなおバカ映画もたまにはいい。すでにテレビで放送されたものを劇場用に再編集したものらしいが、自分は初見。意図したのか、必然的にそうなったのかは判別しづらいが、全体を覆うチープなつくりも悪くはない。
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