タカシ

デトロイトのタカシのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.5
『暴動するならモノをとれ』


アメリカの暴動ってなんですぐに略奪行為に走るのかね? あれただの泥棒だよねえ。

そこらの監督よりよっぽど男気にあふれるキャスリーン・ビグロー監督の最新作。

例によって、事前の情報をあまり入れてなかったので、もっと67年のデトロイト暴動についての映画かと思っていたら、結構違ってた。

2月2日の夜にNHKBS1でも放送されていた、ドキュメンタリー「デトロイト暴動 真実を求めて」にも描かれていたアルジェーズ(映画ではアルジェ)・モーテル事件がメインストーリー。

映画ははっきりと三部構成になっていて、第一部がデトロイト暴動の発端と進行。第二部がアルジェモーテル事件。第三部がその後、といった感じ。

映画評論家の町山智浩さんがこの第二部を映画「悪魔のいけにえ」を引用して『恐怖』と表現してるのが気になってましたが、なるほどね。

思えば、現在にいたるまで警官が黒人にいわれのない過剰な暴力を奮うのは相手に対する恐怖が大きいのではないかな。
そして戦場のごとき暴動。
これが警官の暴走に拍車をかけたんだと思います。
あの警官たちがもっと「黒人なんかみんな犯罪者、容赦なくぶち殺せ!」みたいな分かりやすい悪役だったらもっと割りきれるのにね。

NHKで放送されたドキュメンタリー、警官の主犯的な人の現在の様子も語られていて、今ではボランティアにも参加する老人らしい。
本当の悪人などいないと思いたい。

クタクタの2時間40分でした。

傑作。
劇場(字幕版)にて。18.02.02
2018#008
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