Dumbo

シェイプ・オブ・ウォーターのDumboのレビュー・感想・評価

4.0
これも“孤独の共有”

この作品を観たのは、
『少年の君』を劇場で観る少し前でした。

全く違う映画なのに、
『少年の君』を観た時に、同じ切なさを感じ、
同じテーマが根底にあるように思いました。

『少年の君』はすぐにレビューが書けたのに、
こちらはどうにもレビューが書き辛くて、
だいぶ長い間下書きに放置してて、
そういうレビューって、
置いておけばおくほどもっと書き辛くなって、
結局下書きから削除してしまうというパターンが
多いので、
これももう、観たけどレビューはしないつもりで
いました。



でも、不思議と時間が経つほど
なぜか忘れられない塊のようなものが
心の中にずっと残ってしまい、
やっぱり書いておく事にしました。

観てすぐの時は、

ああ、これちょっと苦手だな…
結構グロかったし…
なんとも言えない不気味さと、
暗くて救われない雰囲気も苦手…

というのが正直な感想でした。



サリー・ホーキンスさんという女優さんは、
なんとも不思議な人です…
おばあさんのように見える時もあれば
(サリーさんごめんなさい🙏💦)
可憐な少女に見える時もある。

でも、彼女の魅力は、
顔が綺麗とか可愛いとかではなくて、
その独特の雰囲気だと思うのです。
その存在感は他の人には出せない。
この役も、彼女だけにしかできない役
だと思いました。



声が出せない彼女自身もマイノリティだけど、
彼女のまわりの人たちも、
隣に住む友人はゲイで、
職場の仲良しの仕事仲間は黒人で…
というマイノリティの人たち。
それでも、
ゲイの友人は新しい恋人を作ろうと
頑張っているし、
職場の黒人の友達は毎日夫の愚痴を言いながら
小さなイライラを吐き出している。

彼女はそんな周りの人たちとは違って、
まるで人生を諦めたかのように、
淡々と毎日を静かに生きている。
孤独を引き受けた彼女は、
声が出ないから、もちろん愚痴も言わないし、
恋愛もどこかで諦めているように見える。
性欲も、毎日のルーティーンように
朝のバスルームで自分で慰めて処理している。

そんな彼女に、
ある日とんでもない運命の出会いが。
そして、その時初めて、
彼女は“彼”のために行動をおこす。
多分…生まれて初めて。

なぜ、二人は惹かれ合うのか…

なぜ、彼女は
その人間ではない凶暴な“彼”に
怖いと思わずに惹かれていったのか?

私にはどうにもそれは分かりませんでしたが…

人の感覚は人それぞれ。
同じ映画を観ても、
自分はめちゃくちゃ泣いたのに、
相手は全く何も感じていない…
そんな事も多々あるから。


“あなたの姿が無くても
気配を感じる
あなたの愛が見える”


言葉が無くても…
むしろ言葉が無いからこそ、
生まれる愛もあるはず。
二人の“孤独の共有”から芽生えた愛は
孤独じゃなくなってからも、
きっと永遠に消えることはないでしょう。

それは、形のない“水”と同じように。
永遠に…



観終わった後の後味もあまり良くなかったし、
ラストもハッピーエンドとはいえ
ファンタジーすぎてなんか納得いかない…
人間ではない“彼”にも、
どうしても魅力を感じることが出来なかった。

好きか嫌いかと聞かれたら、
何回も言いますが、
私にはちょっと苦手な種類の映画なのです。


それなのに…
どうしても忘れられない…


大嫌いだけど忘れられない
昔の恋人のように。




【ご注意】
猫好きな方は観ない方がいいです。
私も目を覆いたくなりました😭




The Shape of Water
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