優れたマイノリティ讃歌かつ、デル・トロ式の E.T. 。
徹底的にティール (観た人ならわかるけど、青や緑と呼んでいけない!) を使い、雨や水のイメージが多い画面、マイノリティへのスポットライト、というあたりでJPジュネの「ロスト・チルドレン」を思い出すなど。
いろいろ段階をすっ飛ばしてる感のあるストーリーや、様々なティピカルをそのまま代表させたような各登場人物にはお伽噺っぽさが漂っている。
マイケル・シャノン演じる悪役がすごく良くて、取り立てて優秀なわけでもなく、悪の美学みたいな強い思想を持ってるでもなく、俗物を絵に描いたような性格で、ただ職位の権威とプレッシャーの間で必死に働く姿が悲哀すら感じさせるのに、それでいて圧倒的な狂気に満ちている、そういう超人的俗物で非常に個性的な造形のキャラであった。