Inagaquilala

彼女の人生は間違いじゃないのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
「ヴァイブレータ」や「さよなら歌舞伎町」、最新作ではネットフリックスでの配信作品「彼女」がある廣木隆一監督だが、この作品は、彼のフィルモグラフィーのなかでもベストに属するものではないかと思った。東日本大震災後の福島で、仮設住宅で父親と暮らす主人公。彼女は市役所に勤めながらも、週末は高速バスに乗り東京へいき、デリヘル嬢として働いている。それは、まったく仕事をしない父親との暮らしのなか、生活のためでもあるのだが、それだけではない複雑な内面も彼女は抱えている。

そのような主人公の心の動きの描き方が、この作品での廣木監督は抜群には巧い。自らも福島の出身である監督が、自分で筆を執り書いた小説が原作となっているということだが、そのような事情からか、描写がうまく機能しているようにも思える。主人公を演じる瀧内公美にとってもベストな作品ではないだろうか。高速バスに乗って東京に向かっているときの彼女の表情が印象的だ。そういうわけで、廣木監督、そして瀧内公美にとっても、ベストな作品と認定したい。
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