設計士あーさん

ライオン・キングの設計士あーさんのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
4.0
アニメ譲りの楽曲の素晴らしさ、大音量で観ると最高です。
映像美より楽曲に注目したい。

シンバがナラと再会する曲「can you feel love tonight」、これは凄い!
楽曲の振動がそのまま映像の震えとなり、離れ離れの幼馴染がもう一度心を繋げていく雪解けを感じる。
遊び呆けていたシンバと違い、ナラはスカー政権の地獄の中で覚悟を決めており、彼女がシンバの背中を押す、「王はあなた」
ライオンはメスが強いって本当なんだな。
この曲は特に、「気楽で素敵な暮らしはきっと終わる、アイツ(シンバ)は帰るべき所がある」と、はみ出し物トリオだったはずのシンバが遠くに行くことを悲しむプンバー達の気持ちも、楽曲の振動に合わさり心揺さぶられる。

そして王として奮い立とうとする楽曲「プライド・ロック」。父亡き後のスカー政権で王国はくたびれ、ハイエナがうろつき後ろ暗い曲調で始まる。
しかし王国の動物たちは、真の王の帰還でもう一度生命力を取り戻すことが、転調し一気に爆発させる曲から感じ取れる。
曲「サークル・オブ・ライフ」で始まるライオン・キングは、シンバの誕生を王国の動物皆で喜び歌い上げた。
「プライド・ロック」もまた、シンバの帰還で歌い上げることで命は繋がって行くのだと、序盤と終盤がサークルとして繋がって行く。

楽曲「be prepared」ではスカーがハイエナ達に無類のカリスマを魅せつけるのが何ともセクシーだが、シンバの持つカリスマは「健全」であり「エロス」がない。光と影のようにコントラストがあり、中弛みしないようになっている。

「ハクナ・マタタ」はオリジナルアニメや劇団四季の方がクオリティが高い。
この原因はおそらく、楽曲が他曲に比べ控えめでありそもそもプロではない声優を起用していることが目立ったからと考える。そもそもこの曲は他と比べやや単調であり、従来作品においては「プロの歌」をいやでも感じさせるパートなので本映画においては仕方ないのだと思う。