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ボヘミアン・ラプソディのkochabのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.0
リアルタイム世代、と言うわではありませんが、約二十数年前、やはり私も「ボヘミアン・ラプソディ」を聞いて以来、なんだ、このバンドは、と気がつき、調べてみたらフレディはすでに他界された後だったと知って愕然とした覚えがあります。それ以来、聞いていただけに、ある意味私自身この秋、一番期待していた映画の一本でもありました。

もちろんバンドとしてのQueenの物語ではあるのですが、あくまでフィーチャーされているのはフレディ・マーキュリーその人であります。まさに彼の音楽人生を追いかけた一本でもあります。随所に彼の人生の状態と曲がシンクロしている事もよく分かりました。"Unde Pressure"等々、ね。

序盤、Live Aidに行くところだったので、締めもLive Aidだろうなぁ~、とは思っていました。私自身は映画を観る前にはネットの動画でその様子を見て、聞いたことはあります。しかしこの映画ではフレディがAIDS(今ではHIV、というのでしょうが、映画内表現と合わせておきます)である事をメンバーに打ち明けたばかり。そして、彼に死期が迫っていることも分かって改めてLive Aidシーン、その曲、その歌詞を考えてしまうと...。例えば、「ボヘミアン・ラプソディ」から、

If I'm not back again this time tomorrow
明日の今頃になって 僕が戻らなくても
Carry on, carry on, as if nothing really matters
今のままで生きていって、まるで何事も無かったかのように

と聞けば、もうすでに彼が死んでしまったかのかのような感じさえします。さらに、

I sometimes wish I'd never been born at all
時々 考えてしまうよ、いっそのこと生まれてこなきゃよかった

もう映画見ながら、私自身「フレディ、あなたがそんな事を言わないでくれ!!」と。ここですでに涙が止まらなくなってしまったッス。(T^T)。

そして"We Are the Champions"で私たち(君たち)こそがチャンピョンだ、と来るのだから、いやいや、フレディ、そしてQueenこそがチャンピョンだと。ありがとう、と言いたいくらい。

そう、曲を作った当時はそんな事を考えたこともなかったでしょうし、映画で、そしてすでに過去になくなっているからこそ、「後付け」だからこそ思う気持ちであるのは分かっています。それでもやはりこの映画を見ていたら歌詞とフレディの人生がかぶって聞こえてしまいます。

よく映画としての演技だ、ライブがすごい、と聞いていましたし、私自身も確かに「生き写し」のようにさえ思えるのは確かです。でもまずはそこまで命を燃やしたフレディ・マーキュリーその人があってこそ、と改めて思いました。改めて彼の、そしてバンド全員の功績を讃えたいと思います。
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