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テルマのColのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
4.0
同じ日々の繰り返しのルーチンワークに辟易とし、現実から離れたく美麗で心すくアート系映画を観たいなと思い、予てより気になっていた映画を観にいく。公開日に公開してる映画館が意外と少なく東京近辺では2館のみ。少し遠出で恵比寿ガーデンプレイスの映画館で初来館鑑賞。

結果から言うと思った以上に良作だった。凹み気味の自分に折り合った。謎の力を持ったテルマが少女から大人になる過程を綴った映画だが、謎の力があるという要素でホラーといわれるが、冒頭から中盤まではこの映画がホラーであることを忘れるくらいテルマが大人への成長とその葛藤が表現された青春映画だった。厳粛な家庭に育ったテルマは、成人になっても親の執拗な監視を受けていた。”今から友達といいところなのに、そんな時に限って親から連絡がくる・・”なんて誰しもが共感できるそんなシーンで過去の自分を想起させられながら(フラストレーションを感じながら)中盤まで映画を観ることになる。と、この前半の語りがトリガーとなりラストに紐付かれるのだがネタバレになるので終盤のストーリーの話は伏せて起きます。

レビューで書きたいこととしてこのノルウェー映画、広大なノルウェーの舞台を背景に緩やかにすすむストーリー、箇所箇所のフレームワークもしっかり計算されており全面を通し上質な品を感じざる得ない。それでいて定期にアートであり独創的なスタイリッシュなシーンが観客の映画への没入感と誘う。まさしく若く繊細なテルマがまだ見ぬ体験にぶちあたる様を表すことに情熱をささげられたいい表現、いい作りだった。ただ正直には、やや冗長で衝撃的なアートシーン以外は分り易いアプローチは少ないので暇に感じる人も少なくないかなと思う。

最後の最後、ラスト5分間のやりとりでとてつもなくこの映画の評価があがる。鬱鬱とした青春映画として、ホラー映画として深々とした展開だったが一気にカタルシスを迎える。ストーリーの内容的に賛否あるだろうけど最後のシーンは自分はもっと概念的なものとして捉え、エンドロール中は終始清々しい思いでいっぱいだった。

たまたまだったが映画見終わり、出たオシャレな恵比寿のガーデンプレイスがこの映画の良さを助長させるな~ 
・・・なんてウかれちゃうくらい良い作品でした~
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