(2024.56)
プロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)の下、人命救助に勤しみ人々の信頼を得てきたX-MENだったが、宇宙での事故の救助中、ジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)が太陽フレアの爆発に巻き込まれてしまう。何とか生存したジーンだったが、それがきっかけで不安定だった彼女の能力は暴走を始める……というお話。
『X-MEN』サーガの今の所最終作。前作『アポカリプス』で転けてしまった印象があるシリーズだが、今作においても結果立ち直ることは出来ずじまいという感じ。一応話は続けられそうな雰囲気のラストにはしているのでまだまだやる気はあったっぽいが、とんでもない赤字を叩き出してあえなく終了してしまった模様。
『ファイナル・ディシジョン』と同じくジーンの能力の暴走をテーマにしているが、あまりに強大な能力を上手いこと扱えていないな……という印象は変わらずで、全体的に軌道を確保出来ずにフラフラしてまとまらずに話が終わってしまい物足りなさが残った。そもそも新シリーズの核となっていたのはチャールズ、エリックとミスティークなわけで、前作で顔見せ程度の活躍しかなかったジーンがメインキャラとして出てきてもいまいち感情移入できなかった。おまけにチャールズは嫌な奴になってるし、ミスティークは功労者とは思えない雑な処理をされるしで、物語の都合で適当な扱いを受けているのが丸わかりな所もフラストレーションが溜まる。コミックスではどうなのか分からないが、映画シリーズだけ観てるとジーンがそこまで重要人物には思えないので、他のキャラを差し置いてまで出てくるのは違和感を覚えてしまう。
ヴィランのよく分からん宇宙人は、変身能力と頑丈さ意外は特筆すべき能力のない適当さでジーンを悪役にする事を回避するためだけに現れたような存在感の無さ。ジェシカ・チャスティンを起用しておいてこんなに影の薄いキャラにできるのはある意味凄い。
良い所がないわけではなく、ミュータント達が能力を活かして活躍する場面は結構多くて良かった。終盤の列車での戦いは、これまでになかった閉鎖空間での死闘が荒っぽくて楽しかった。『アポカリプス』はそこすら物足りなさがあったので、これだけでもちょっと加点したくなる。
とても「有終の美」とは言えない微妙さで、つくづく『フューチャー&パスト』か『ローガン』でシリーズ打ち止めにしておけば綺麗に収まったのに……と思ってしまうような一作だった。最早生き残りはスピンオフから大成したデッドプールくらいしかいないが、今後このシリーズの人々が救われることはあるんだろうか。