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X-MEN:ダーク・フェニックスのtetsu0615のネタバレレビュー・内容・結末

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とっても面白かったのだけれど、どこか興奮度が物足りなかったかな?

ジーンの扱いを巡る二組のミュータント同士の小競り合いや後半最大の見処である列車アクション、ジーンの舞うようなクライマックスでの圧倒的感など面白い場面があったのでそこは良かった。
が、ある主要キャラクターの死や間違いを犯してしまったキャラクターの後悔と赦し、敵キャラクターの存在意義やクライマックスでの決断などもっとドラマチックにと言えば良いのか、カタルシスが足りないと言えば良いのか?
そういう感じがした。
あと、これまでX-MENが描いてきた「人間とミュータントの間にある隔たり、偏見、差別」みたいな描写が無かったかなと。正確にはX-MENという世界が認められ始めた世界でのジーンの件から世界はまた反ミュータントに向かいそうな流れを見せておいて、その帰結がフワッとしてしまったのが"最後のX-MEN"としては惜しいなぁと。



X-MENが認め始められている90年代初頭、ロケット事故での乗組員救出に向かったX-MENだったが、その最中ジーンが太陽フレアを浴びてしまう。何事も無いように思われていたがジーンの力には異変が起きていた…

アバンタイトル、ジーンの幼少期に起きたショッキングな事故から物語は始まる。
ところで、X-MENシリーズでお馴染みのイメージがあった遺伝子配列の流れでタイトルが出てくるくだりはいつから無かったかな?(一緒に観に行った友人の話では今回だけ無かったのでは?との話だ。ありがとう!)

時は戻り92年、スペースシャトルの打ち上げで事故が起き、X-MENに救出依頼がやってくる。
今までと違い、X-MENという存在が公に支持されつつ、子供たちからも慕われているという世界観なのは意欲的な造り。
救出劇も各々の能力を活かしたチームワークとレイヴンの指揮が光る。

このとき浴びた太陽フレアの影響が徐々に顔を出し、ジーンを混乱させダークな面へと誘っていく。
ミュータントのため、無茶なことでもしようとするチャールズと反発するレイヴン。彼女はチャールズの元から離れようとも考えていた。その考えを聴き、揺らぐハンク…
正直な話、この辺も曖昧なまま終わってしまった気がしている…
チャールズがジーンのためを思ってしたこと、彼女のトラウマを奥深くに封じ込めたことも割かし自分が正しいことをしたと信じていた前半に比べると後半アッサリ反省したイメージ。


ここからよりネタバレ注意



あとはジーンの強大な力の発揮も、癇癪を起こすごとくに爆発するだけでイマイチ(後半へのタメという感じでもないし)
ここまでファーストジェネレーションシリーズを引っ張ってきたレイヴンの死もあまりにもアッサリしすぎていてドラマ性に欠ける。
マグニートーのポジションも相変わらずハッキリしない笑

少し割愛してしまうが、ジェシカチャスティンが演じる今回のヴィランと呼べる存在もイマイチよく分からなかった。宇宙からの襲来者なのだろうけど、目的や能力など色んな部分が曖昧で説明も無いまま襲来してしまって存在感がイマイチ。(ジェシカチャスティンの妖艶で怪しげなそれでいて余裕を感じさせる佇まいが良いだけに残念)

レイヴンの死をきっかけに、マグニートー&ハンクのジーンを殺す側とチャールズ率いるジーンを救う派に分かれてのミュータント同士のバトル、ジーンの炸裂するパワーなど盛り上がる場面を挟みつつ、物語は最大の見せ場とも言える列車アクションへとなだれ込む。

列車アクションで繰り広げられる軍隊VSヴィランたち、そしてミュータントたちが解放されてからの列車の内と外で縦横無尽に闘う彼らのバトルは見ごたえ十分。
ストームの雷やマグニートーの圧倒的なコントロールとパワー(列車でまるごとお掃除しちゃうのとか最高)、カート=ナイトクローラーが覚醒してからのテレポートを存分に活かしたオーバーキルなナイフ捌き、サイクロプスのビームなど見ごたえは十分!
ラストにはジーンがヴィランたちをほぼ無敵な状態でチリにしていく様、舞うような手の捌きが圧倒的な力の差を出しているようでここも良い。
ただ、ラストにジェシカチャスティンの存在がどのような存在がなんなのか分からないまま、倒すとみんなに被害が及ぶから天高く上がり自らを犠牲に終わらせる。
ヴィランの存在がフワッとしているがゆえなのか、ドラマ性に欠けるからなのかジーンの決断も比較的アッサリ片付いてしまった上にそのままハッピーエンドかのようなエンディングに。
今回の事件がが及ぼしたであろう影響、特にX-MENやミュータントが世間から非難されそうな展開になったのにも関わらず、それについて触れないままハッピーエンドにされても…(列車で拘束されたカートに息子がファンだったのになとか言うセリフもあったりしたのに…)

"20世紀FOX最後のX-MEN映画"としてツッコミ処は色々とありつつも、ミュータントたちの能力を活かした列車アクションなどの見処で楽しませてくれたアクション作品。
ウルヴァリンがいないことに改めて寂しさを覚えつつ、新キャストによるMCUへの参入を期待しよう。


そういえばで追記
クイックシルバーもアッサリ退場してしまったなぁ…
この主要キャラクターたちのアッサリとした退場…似たような気持ちをどこかで…前もジーンが暴走していたような…なんてな笑
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