FATMAX夜食のデブロード

X-MEN:ダーク・フェニックスのFATMAX夜食のデブロードのレビュー・感想・評価

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
4.2
確かに〈コレが最後のX-MEN〉とか言われると異論が出てくるのは分かる。しかし過去シリーズ3作目(ファイナルデシジョン)と同じ失敗という意見にほ個人的にノレない。
確かにサイズ的に小さくはあるが、とても良くまとまっている作りで、何より盛り上げ方は上手く行っていると思う。
前作【アポカリプス】はクライマックスで決め絵こそカッコいいが凡庸&CG頼みの絵作りで流れの抑揚もユルい。つまらないとまで言わないがそれなり程度、ブライアン・シンガーのイマイチな部分が露呈していた印象があった。
【フューチャー&パスト】がお祭り仕上げの劇薬であり、結果そのせいで後遺症が出てしまった作品。
つまり監督としてのブライアン・シンガーはヒーロー物の作り方/撮り方が決して上手ではない人とワシは思っている。

ソレに比べて今作はサイズ感を理解した上でキャラクターの特性を上手く活かした戦闘シーン等、確かにシンガー作品と比べると毛色は違えど非常に演出が盛り上がって作られていると思うのだ。

シンプルにX-MENの一編として"攻めつつもクレバーな作品"だと思う。

それぞれのキャラが葛藤し間違いを犯したり感情的になったりと、正に"ミュータントも人間"という事にも重きを置き、ドラマとしても成り立ってるとワシは感じた。

なんだかんだ言ったってクライマックスのアクションシーンは凄くカッコいい!
全てのキャラが能力を存分に活かした"閉鎖空間"でのバトル(もうこの土台が今までにない事!)のアガりっぷりはすこぶる気持ち良い。

元ネタが一緒でもコレだけ考えられて作られた物を3作目と同じミスというのは違うのではないだろうか?
むしろそういう方向で言うなら今作は"こうあるべき"と監督が言ってくれた気がしている。


ただ、やはりジーン主役のスピンオフ的内容という事自体を否定するつもりはないし、ゆえに〈最後のX-MEN〉ならもっとデカい話を観たかったという言い分も分からないではない。
当然スコアが低い人の意見を否定するつもりもない。

だが決してド派手な大きい花火ではないこの物語をあえてチョイスし、そのサイズに合わせてしっかり作られた今作は

『 ワシにとって"傑作"である。』