みきちゃ

検察側の罪人のみきちゃのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
4.4
面白くて2回観に行った。脚本には書かれていないであろう余白と間を豊かに埋めていく俳優陣がすっばらしかったー!音楽とテンポが良くて、緊張感と切迫感を途切れさせない。
 
キーワードは、「正義」はもちろん、「流儀」とか「美学」とかなんかそんなん。一本筋の通った、しっかりした芯のある主要キャラ3名を揺るがす事態。彼らが天秤にかけなくてもよかったはずのこと。どちらかを選べと決断を迫るのは酷でしょ…ってこと。一押しまた一押しと崖っぷちへ追い詰められて、どうしたって優劣をつけて取捨選択するしかなくなってしまった。

あるキャラが一度流儀を曲げたときはまだ良かった。そこから先は早くて、美学が一度ならず二度までも歪んだときが悲しかった。ずいぶん遠くまで来ちゃったなあとしんみりした。
 
最上、とても良かったなあ。腹をくくったり、悩んだり動揺したりする様が見応えあった。沖野が瞬間的に発した圧が凄くて、あの場面は劇場が完全にのまれてたと思う。諏訪部は鬼かっこよくて、味わい深いセリフばっかりで、底知れなくてめっっっちゃ素敵だった。丹野の嫁役が何気にめちゃよかった。もっと出番あってほしかった

そして松倉よ。すんごい胸糞の悪さ。原作と一番キャラ設定が変わってたのが松倉で、演じる酒向さんが予想つかない言動ばっかり繰り出してくるから、まあまあの気持ち悪さなのに目が離せなかった。こんな彩り豊かなキャラに仕上げてもらった松倉よ。なんか業が深いわ。
 
OPに採用されてたあの写真家さん・・・名前どわすれごめん・・・の大都会トーキョーな感じかっこいい。ロケーションも好み。天井が高くて開けた場所でする話と、人気の無い場所でする話との対比がなされてた。

食事の場面も印象的。お店とメニューがいちいち良い。もしもどれか一つ食べるとしたら、立花のフレンチトーストをおさえて、さらに最上たちの同窓会食のトマトもおさえて、前川も追加注文しちゃってた喫茶店のケーキで!

最上が食事の場で中座を繰り返すのって彼の立場を暗に比喩ってるんやと2回目で気付いた。

ほぼほぼ良いことづくめだった映画の、あの駆け足説明みたいになってた辺りだけが勿体無い。辿り着いたラストは、日本人的に不人気なやつなのに恐れず構わずって感じで好感。原作のしみったれて暑苦しい気配が消されてたのが大変良かった。
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