ノラネコの呑んで観るシネマ

少女ファニーと運命の旅のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

少女ファニーと運命の旅(2016年製作の映画)
4.3
第二次大戦下のフランス。
隠れ家を追われたユダヤ人の子供たちが、生きるためにスイス国境を目指す。
これは図らずも子供たちのリーダーという重責を担った、13歳の少女ファニーを描く実話ベースの物語。
占領下のフランスでは、敵はドイツ軍だけでは無い。
冒頭、フランス人の聖職者が、子供たちの保護施設のことを密告したことが示唆される。
ユダヤ人だって我が身可愛さに同胞を売り、逆に見ず知らずのユダヤの子を助ける者もいる。
大人たちを誰をも信じられない状況の中、様々な危険が子供たちを待ち受ける。
非常に真面目かつ端正な映画で、全く気をてらった部分はない。
カメラは、子供たちの個性と揺れる感情を丁寧に写し撮ってゆく。
幼くも気高い"司令官"ファニーを演じるレオニー・スーショーが素晴らしく、将来が楽しみ。
こうした迫害される子供たちが、今も存在する世界が痛ましい。