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ゴールデン・リバーのいののんのレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
3.9
タイトルに「リバー」がつくものに間違いは、ない。「ウインド・リバー」しかり。「フローズン・リバー」しかり。「ロスト・リバー」も嫌いじゃないぞ。「ミスティック・リバー」も「泥の川」も傑作(と言いつつ、両作とも観たことない)。リバー・フェニックスはホアキンのお兄さん。(それが信じられない。リバー・フェニックスはいつまでも若いままだから、ホアキンの弟のような気がしてしまう。) だけど、邦題にリバーがついているだけだった。英題は「The Sisters Brothers」シスターずブラザーず。ジョン・C・ライリーとホアキン・フェニックスとが、シスター兄弟。名高い殺し屋。そこに、ジェイク・ギレンホールと、科学者リズ・アーメッドが絡んでくる。時は1851年。ゴールド・ラッシュに湧いている。


とにかくキャスト4人が素晴らしい。広大な大地を背景に、心の揺れを繊細に表現している。科学者が理想を語る。理想の社会は築いていけるのだと夢を語る。すると、横で耳を傾けている者は、うっとりしてしまう。同じ夢をみてしまう。実現できるのではないかという気持ちになってしまう。そこがすんごくいい。彼らは、それぞれ、ここに至るまで、どれほどに苛酷な人生を送ってきたのか、それを物語っているのだと思うからだ。


この監督の作品を観るのは、これでまだ2作目でしかないけど、なんだか無性に惹かれる。神は細部に宿るというのか、ささやかなところで、控えめに、魂の救済を語っているのだと思うけど、2作みただけで、そう言い切ってしまうのは性急すぎますね。もう少しじっくりゆっくりと、おつきあいしていきたい監督となりました。どうぞよろしくお願いします。


観ているうちに、お兄ちゃん(ジョン・C・ライリー)のファンになる。赤いショーツ、もとい、赤いショールなら、私だってあげるのにw。どんな物語がそこにあったのか、想像するのも楽しい。



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メモ
ジャック・オーディアールに監督を依頼したのは、主演に加えて共同製作もつとめたジョン・C・ライリーとのこと(川本徹『フロンティアをこえて ニュー・ウェスタン映画論』森話社、33頁)
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