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女は二度決断するのnozomiのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
4.0

ドイツ警察戦後最大の失態といわれる、実在の連続テロ事件から着想を得て製作されたドラマ映画。

ストーリー自体はフィクションながらも、実在の事件を元にしているだけあってリアリティがありました。

映画は「Ⅰ.家族」「Ⅱ.正義」「Ⅲ.海」の3章で構成される。

ドイツ人のカティヤは、トルコ移民のヌーリと結婚し、息子のロッコと3人で幸せに暮らしていた。

ある日カティヤは友人と会うためにロッコを仕事中のヌーリに預けるが、彼の仕事場の前で爆弾が爆発し、二人とも犠牲になってしまう。

ヌーリは麻薬の売買をしていた過去があるのでその関係で消されてしまったのでは、と警察は疑うが実際はネオナチ(ナチズムを復興させようとする運動)による、ドイツ人による人種差別テロだった。

犯人と思われる者達が捕まるものの、証拠不十分、アリバイ、カティヤの目撃証言も無効…裁判は難航し、絶望の淵へと追い詰められていくなかでカティヤはある決断をする。

「そして、私たちは愛に帰る」「消えた声が、その名を呼ぶ」のファティ・アキンが監督を務める。彼自身がトルコ系のドイツ人である。

愛する家族を奪われて哀しみに暮れる彼女の苦しみが痛いほど伝わってきて終始息が詰まるような苦しさを感じる。

カティヤ役のダイアン・クルーガー。今回カンヌで女優賞を獲ったのも頷ける演技力。

ストーリーの鍵を握る「彼女の決断」はきっと賛否両論でしょう。家族を誰かに奪われた経験がある人は痛いほど理解できるのかもしれない。理解も共感もできなくても心に残る映画になるんじゃないかな。

上演後の映画評論家の松崎健夫さんのトークは本当に勉強になりました。

もらったリーフレットに、「二度決断するパン発売!」と書いてあり衝撃を受けた。新宿武蔵野館で発売するそうです。3種あり、どれを食べるか2度決断する必要があるんです。一体どんな味なんだろう…。
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