黒柴

女は二度決断するの黒柴のネタバレレビュー・内容・結末

女は二度決断する(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

一児の母から復讐の鬼へと変わる悲しい物語。ドイツ人の妻とトルコ移民の旦那の間に生まれた子供と幸せに暮らしていたが、反移民を掲げるネオナチ集団から爆弾テロで愛息子と愛する旦那を一瞬にして失う。

警察から2人の家族の死を告げられた母親の涙。母親役のダイアンクルーガーの赤く腫れぼったい目が忘れられない。
そんな2人を失った悲しみに浸る暇もなく葬儀の準備、棺桶選びなど日常的な姿も映しだし喪主は忙しいので泣いてる暇が無いのは万国共通なんだろうか?

家族を失った悲しみから麻薬へと逃げる母親、やがて爆弾テロの首謀者のカップルが逮捕され裁判へと話は移行する。
しかし裁判も肝心な物的証拠が乏しく逮捕されたカップル2人を犯人とする決定的な証拠が無く予想外の判決が出てしまう。

母親は野に放たれたカップルに復讐を誓い自分の体にソルジャーの意味か?侍のタトゥーを入れる。そのタトゥーが凄くカッコいい。復讐と言いながらも韓国の復讐をテーマにした自分からすれば、少々展開が生温く感じたが、ラストの部分はいくらネタバレレビューとは言え割愛させて頂く。

一度は決行しようと試みたが正気に戻りためらうが、やはり悲惨な死を遂げた家族への復讐、そして同じ死に方で天国で待つ家族の所に行きたかった、など色々な捉え方の出来るラスト。そして我が家族の命を奪った極右カップルを同じやり方で決行し自らも旅立つ選択、ドイツ人の妻がイスラムの殉教者と同じ方法で・・・
いやいや(*´-`)
書くのはよそう。書けない位の衝撃と言い様のない皮肉にも似た母親のラスト。
久しぶりに飯マズ映画として自分の中では殿堂入りしました。ダイアンクルーガーの母親から侍、ソルジャーとしての過程を見事に表現した演技力に脱帽です。

女性特有の生理のシーンが出てきます。家族を失った極度のストレスから生理が止まり、カップルに復讐を決行する前に生理が始まった。母親に戻った瞬間を表現しているのでしょう。

映画館を出て外に出ると既に深夜、週末という事で賑やかな歓楽街が広がってました。世界中のどこかで繰り返されるテロ。
そんなテロとは無縁、考えることも出来ない日本。なんだかこれでいいのか?なんてずっと考えながら歩いている自分がいました。
黒柴

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