かじドゥンドゥン

それからのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

それから(2017年製作の映画)
2.8
出版社社長のカンは、出勤時間が早くなり、しかもほっそりしたようで、妻から浮気を疑われる。実際、彼は唯一の従業員だったイ・チャンスクと愛人関係にあったが、(彼曰く)互いに辛くなり、一カ月前に別れた。そして、新しい従業員候補として、美女ソン・アルムがやってくる。珈琲を入れた社長は、アルムのことを色々と尋ねる。彼女は小説を書いていて、6年間、文芸賞に応募し続けている。文筆家としても著名なファン教授の推薦だけあって、頭が切れる。幼いときに両親が離婚し、家を出た父は孤独に死んでいった。兄がいる。姉は美しく女らしいひとだったが、子宮癌で数年前に死んだ。彼女が気に入った社長は、敬語を辞めようと提案し、自分のことは(「代表」ではなく)「社長」と呼んで欲しいという。評論家として有能な社長は、「実体」というものが言葉では表現できない、言葉で表現できるものは粗悪だと自論を展開するが、アルムは、「実体」という虚像に逃げて、何かを信じるということを怠るのは卑怯だと反論。そして彼女自身は、この世界、永遠に美しい世界を信じているという。(元愛人チャンスクも、社長が「卑怯だ」、自分を偽り、家庭ではいい顔をしていると非難したのを、社長は思い出す。)

アルムの出社初日に、社長の妻が乗込んできて、アルムを愛人と決めつけ、殴りかかる。社長がやってきて、三人で話し合い。妻が見つけて来た恋文は、1ヶ月前に別れた愛人だが、もう連絡も取っていないし、会ってもいないと弁明する。その後、社長はアルムを連れて飲みに出て、朝のことを詫びる。アルムは、社長とチャンスクとの別れ方に中途半端なものを感じ、とにかく自分はやめることにすると申し出るが、社長は引き止める。その直後、店の外で、チャンスクと再会した社長は、さっそく抱き合って、やり直そうと誓い合う。その場面を見て唖然とするアルム。三人で事務所へ行き、酒を飲む。社長は、チャンスクを再び雇う必要があるので、アルムにやめて貰いたいと良いです。アルムは公私混同甚だしい社長の言動に侮蔑を隠せず、去っていく。泣き出す社長。

事務所を訪ねてきた女。社長が評論で賞を獲ったことに祝いを述べる。社長は彼女のことを色々と尋ねる。小説を書いているときき、「タイトルは重要ではない(中身が大事)」と告げる社長だが、これはかつて、アルムに社長が言われたこと。そしてついに、話している相手がアルムだと気づく社長。もうチャンスクは居ない。彼女がどうなったのかアルムが尋ねると、1ヶ月間社長は彼女の家に住んでいたが、妻がおめかしした娘を連れて訪ねて来て、それを見たとき、自分は娘のために生きると誓って、家に戻り、チャンスクとは会っていないらしい。ひととおり近況を話し合い、昼食の出前を断って、去るアルム。彼女に社長は、自社から出た漱石の新訳を手渡す。