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2重螺旋の恋人のkojikojiのレビュー・感想・評価

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)
4.2
No.1554
2023.11.30視聴 
オゾン-20(2017年作)8/31

 「まぼろし」で人間の現実と妄想の間を行き来することの面白さに味を占めたオゾン監督は、この映画で完全な一つの境地に達したと思う。
 この映画こそ、どこまでが現実で、どこまでが妄想かわからない。次第に主人公の精神世界の入り込んで行くような感じだ。そこでは見えているものなど全く当てにならない。人間の精神が如何に危いものか、そんなことをいやが上にも考えさせられる。
面白い。
オゾン監督の最高傑作なのではないか。
もちろん何本か観てない作品があるので、「今まで観たうちでは」という条件付きなのだが。

 フロイトの精神分析の本を読んでるような面白さがある。真反対の性格の双子の兄弟と彼女との関係が面白い。オゾン作品の中でもとりわけエロチックだ。それは「17歳」で思う存分才能を見せつけたマリーヌ・ヴァクトの演技が魅了しているからかもしれない。エロチックに変身して登場する彼女がすごく魅力的だ。 

どこをとっても面白さ満載の映画。
これをある人は
「エロチック精神分析サスペンス」
と書いていたが、後半はホラースリラーと言えなくもない。いろんな要素が混ざり合ってオゾン監督作品独特の世界を作り上げている。

 原因不明の腹痛に悩む25歳のクロエ(マリーヌ・ヴァクト)は、婦人科医から紹介された精神分析医ポール(ジェレミー・レニエ)のカウンセリングを受けることにする。温厚で誠実なポールの診察で痛みが和らいでいくとともに心惹かれていくクロエ。いつしかポールと恋に落ち、同棲生活を始める。そんなある日、彼女はポールに双子の兄弟ルイがいて、同業者であることを知り、彼に診察を依頼する。
 ところが、この兄は性格が真逆で、性に関しても全く違った対応をしてくるのだった。

この双子の兄弟の存在が彼女の腹痛に起因しているというめちゃくちゃ面白い話の展開を楽しんで欲しい。邦題「二重螺旋」の意味するものも、この映画の謎解きのキーワードだ。
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