ちろる

母という名の女のちろるのレビュー・感想・評価

母という名の女(2017年製作の映画)
3.7
こんな風に母親でいることよりもいつまでも「女」でいる事を願う人間は一定数いる。

一時はノイローゼ気味になっていたヴァレリアが、最後にはしっかりと母の顔になっていたのが印象的。
母親アヴリルの行動が計画的なのか、衝動的なものなのか・・・
おそらくは衝動的なものだとは思うけど、だからこそ恐ろしい。
共に暮らしていないその事が母親から何か大事なものを奪ってしまうのか。
それとも元々愛など備わっていない女がたまたま子供を産んでしまっただけなのか。
美しい海辺の別荘で、母と娘2人のささやかな時間は一見幸せそうな穏やかな時間に見えるのだけど、
じわじわと、確実に普通とはちょっと違う違和感が中盤に決定的になった時、胸糞悪い展開しか待ってはいない。
夫にも捨てられ、娘にも必要とされなかった人生の中で、カレンの誕生によってもう一度存在意義を確認したかったとしても、誰に対しても、そこに愛がないから同情できる点は1ミリもない。
壮絶ではないけど、不幸が不幸を呼ぶ負の連鎖。
ヴァレリアの勇気ある決断が、この連載を分断するパワーになりますように。
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