「哀れなるものたち」でエマ・ストーンがアカデミー主演女優賞を受賞できたのも、本作「女王陛下のお気に入り」での活躍があってこそと改めて思い知った本作。
女性3人の愛憎入り乱れる関係性は、北野武監督の「首」を観た事もあり、
アン女王=織田信長
サラ=明智光秀
アビゲイル=羽柴秀吉
のようにも見えた。
貴族階級から没落し、下働きから成り上がろうと機会を伺うアビゲイル(エマ・ストーン)はさながら、信長の草履を温める秀吉のような強かさ。
サラ(レイチェル・ワイズ)は病弱な女王に代わり政治を取り仕切る男まさりな性格。
病弱ゆえに流産や死産で子供を17人も亡くし情緒不安定なアン女王(オリビア・コールマン)を取り合う、アビゲイルとサラの女の覇権争いには、ずーっとヒリヒリしっぱなしで、女同士で「やられたらやり返す」のなんと陰湿な事か。
一方、アン女王の孤独な心に取り入り、籠絡していくアビゲイルの人心掌握術には学ぶ所も多かった。
新年度に、女性の上司の元で働き「お気に入り」になりたい人には参考に出来るところもあるのではなかろうか(?)
(まずは飼っているペットを褒める所からスタートだ!🐇)
戦国時代と違うのは、女王の新たな「お気に入り」になれたとしても、それ以上の成り上がりは望めず、「お気に入り」以上の権力を持てないというのが、なんとも虚しいラストであった。
俳優エマ・ストーン自身はどこまで"成り上がって"行くのだろうか。
エマ・ストーン×ヨルゴス・ランティモス監督のタッグとなる最新作『憐れみの3章』(今度は違う方の"憐れ")への期待も俄然高まってしまう。