ロク

女王陛下のお気に入りのロクのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
5.0
スペイン継承戦争真っ只中のイングランド王室の宮殿を舞台に絶大な権力を持つ女王の寵愛を受けるため2人の女性が美しくも醜いバトルを繰り広げるブラックコメディ。本作を一言で現すと“こんなはずじゃなかったのに~”な3人の女性の物語。幼なじみで有能なサラを些細なボタンの掛け違いから信用出来なくなってしまい取り返しのつかないことをしてしまうアン女王、女王のために身を粉にして尽くしてきたのに突然現れた小娘の策略にアッサリと引っ掛かってしまう脇の甘いサラ、頂点に立つためなら自らの肉体をも武器にしてのし上がって行く野心家の割りには最後の最後に大チョンボを犯してしまい一生を台無しにしてしまうアビゲイル、そんな目的達成まで手がかかっているのに致命的なミスで奈落の底に落ちていく3人の姿をギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督はエログロとブラックな笑いをたっぷりとまぶして描いており、2019年ベストの1本に入る傑作でメチャクチャ面白かった!全編ほぼノーメイクで演じた主演3女優の演技バトルは凄まじく特に死産した子供達の名前を付けた17匹のウサギを可愛がることだけが生きがいの心が壊れてしまった孤独で我が儘なアン女王を物語が進むにつれて変わっていく表情と仕草で演じたオリヴィア・コールマンには感嘆しました。男装姿から豪華なドレスまで見事に着こなすレイチェル・ワイズの惚れ惚れするような美しさや天使のような笑顔で女王が心を惑わすアビゲイルをフルヌードも披露する熱演で演じたエマ・ストーンの小悪魔的可愛さなど女王を奪い合う2人も素晴らしかったです。そりゃアカデミー賞最多ノミネートされるのも納得です。唐突に終わりを迎えるラストは賛否両論を呼ぶと思いますが自分はエンディングで流れるエルトン・ジョンの“スカイライン・ピジョン”(この曲の意味も劇中に隠されてます!)も含め見事な締め方だったと思います。ヨルゴス監督作品は今回が初めてでしたが過去作も観てみようと思います!!
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