Rocco

ザ・スクエア 思いやりの聖域のRoccoのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

『フレンチアルプスで起きたこと』が好きで、幼児のいる人に勧めているから、この作品も期待大で見た。

この監督、相変わらず、突いてくるな。触れられたくない部分を。
知性と教養でうまく隠しているものの、人間は偏見の塊だし、というか自分の物差しでしか測れないから、知らないものは怖いのだ。自分を守ることに終始する。自分はクリスチャンを利己的だと責められない。多分同じように反応すると思うから。

ロマとか、物乞いは出来れば視界に入れたくないけど、欧州ではあちこちにいる。物乞いされて断ると、乞われたほうが人道的に良くないことをしているような罪悪感を植え付けられるのが嫌だ。でも、彼らにはほかに選択肢がないのだから、それは誰が悪いのだろう。自分は悪くないと思いたい。でも自分は何もしないことで体制を許容している。

このスクエアのなかに入れば皆が同じ義務を負う。他者を思いやれ。ただ、移民では無意識に無視してしまうから、金髪の女の子と子猫を選ぶ。そして爆破する。そうすれば、アートなら莫大な寄付もする富裕層の心に届くかもしれない。彼らは目の前の乞食を助けようとしないから。

体制の中でバリバリに働いていた彼が、そこから解き放たれ、個となった時、ようやく気付く。時すでに遅しでも。
Rocco

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