Yoshishun

映画 中二病でも恋がしたい Take On MeのYoshishunのレビュー・感想・評価

4.0
2012年にテレビアニメ化、13年に総集編となる劇場版の公開、14年に続編となる『戀』を経て、約4年ぶりの新作となった本作。

補習を終え、留年の危機を免れた邪王心眼の六花。元ダークフレイムマスターである優太と契約を交わし、カップルとして高校生ながら同棲をしていた彼女らに新たな危機が訪れる。戸惑う六花と優太を救うべく、同じ高校のくみん先輩は、何と駆け落ちを提案する。

京アニならではのハイクオリティーな作画は本作でも健在で、中二病である六花たちの妄想バトル迫力満点。加えて過去作復習済のファンには何とも嬉しいオールスタームービーでもある。宣伝にもある通り、本作は物語の終焉であるカタストロ……じゃなくて、最終章に相応しい結末を迎える。

本作はキャラクターのアイデンティティーを何よりも重視し、六花たちは中二病を隠さない等、自分をさらけ出す勇気を与えてくれる。本作においても優太は将来について悩みまくり、また六花も自分の中二病の性格と向き合うことになる。過去作でも描かれた似通ったストーリーに思えなくもないが、本作は駆け落ちという新たな視点で面白く描く。ただ劇中でキーパーソンのように言及されていた六花の母親に関しては特に登場する意味があったのかは疑問に残る。

とはいいつつも、ファンにとっては鑑賞必須な最重要作であり、ファンでなくとも、自分のアイデンティティーについて問う、さすが京アニクオリティーとしかいいようがない作品であった。

そして、本作のエンドロールで流れる"こころのなまえ"は、過去作を踏襲するだけでなく、先日発生した痛ましい放火事件で犠牲になった方々への追悼、そして世界中のファンによる京アニへのエールのように聴こえるとてつもないエンディングだ。是非一度聴いていただきたい。


犠牲となった方々にお悔やみ申し上げます。
そして多くの傷ついた方々の1日でも早い回復をお祈りいたします。
人々を幸せにする素敵な作品が再び生み出されることを願います。
Yoshishun

Yoshishun