MasaichiYaguchi

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
ダブル主演の榮倉奈々さんが様々に〝死んだふり〟をし、それに安田顕さんが驚き慌てふためく夫婦役を演じた本作の予告編を観て、正直ややドン引きしたが、本編が進行するにつれて共感を覚え、加賀美ちえの〝死んだふり〟や、よく呟く「月が綺麗ですね」の真意が分かった時、そこに込められた思いがストレートに胸に響いて涙が止まらなくなってしまった。
〝結婚3年目の危機〟が題材の本作を観て我が身を振り返れば、私は何とか今年「真珠婚式」を迎えるが、加賀美じゅんの上司・蒲原課長同様に何度も危機的なことがあったし、ちえの父・進一が言ったように丸くなく、でこぼこの道のりだった。
この作品は、主人公である加賀美じゅん・ちえ夫妻、じゅんの会社の同僚、佐野壮馬・由美子夫妻、その他の登場人物たち、ちえの両親、蒲原課長、ちえのパート先のクリーニング屋の横山、夫々の姿を通して結婚とは、夫婦とは何かということを見詰めている。
ともすればシリアスになりがちなテーマを、榮倉奈々さんの遊び心、キュートさ一杯の様々なコスプレ、それに対する安田顕さんのユーモラスなリアクションが優しく温かいものにしている。
この夫婦純愛物語を観て、未だ「革婚式」や「木婚式」を迎えたばかりの人はプロポーズの時の気持ちを思い出し、私のような「真珠婚式」や「珊瑚婚式」を迎えた人は現状に気を抜かず、人生の〝三つの坂〟を乗り越えて「ともに白髪の生えるまで」を目指したいものだと思う。