YasujiOshiba

チャーリーズ・エンジェルのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

チャーリーズ・エンジェル(2019年製作の映画)
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世の中には男だけの映画が山ほどあるんだから、女だけの映画があってもいいんだよ。

いはやは、エンジェルたちはもちろん、監督と脚本がエイザベス・バンクスで、プロデューサにはドヴュー・バリモアが入っているし、ボズレーやチャーリーだってもはや男どもにはまかせておけないという意気込みは、ぜんぜん嫌味じゃなくて、むしろユーモアたっぷりで実にスペクタキュラーでゴージャスでマーヴェラス。

カッケーと叫んでいるなかに、僕らの時代のセクシャリティの表象が、くつろぎのなかで揺れ動いてゆくのが感じられて快感。

いやね主題歌を歌う3人なんだけど、ナギちゃんの知っていたアリアナ・グランデとマイリー・サイラスは、そんなによく知らなかったんだけど、ラナ・デル・レイの歌は好きなんだよな。イタリア系じゃないけど、イタリアっぽい名前をつけたのは、たしかナンシー・シナトラへのリスペクからだったと読んだこともあって、どうも気になっていた人。まあ、その人が嬉しそうにエンジェルの歌を歌っているのが嬉しかったな。

それにしても、僕の大好きなクリスティン・スチュワートがやっぱりかっこいい。最初に惹かれたのは『オン・ザ・ロード』(2013)のメリー・ルー役だったな。彼女の遠くを見つめる瞳の空虚とエロティシズムが、ものすごく映画的で、これまで見た名作の数々を思い出させるものだったんだよね。それから、ジェシー・アイゼンバーグと共演した『エージェント・ウルトラ』(2016)なんかも実に楽しかった。いや、クリスティンちゃんがエンジェルをやってくれて、ぼくは嬉しいよ。

彼女だけじゃない。存在感抜群のエラ・バリンスカには惚れ惚れさせられちゃったし、どことなく実写版の『アラジン』(2019)でジャスミンが素敵だったナオミ・スコットは、その前の『パワー・レンジャー』(2017)ではただ可愛いだけだったのが、ここではその魅力をうまく引き出してもらえているよな。やっぱり演出のエリザベス・バンクスのおかげだんだろうな。

というわけで、もはやボスレーは「ボスレー」という階級のようなものになり、3人だったはずのエンジェルたちは、ただのエンジェルたちになってしまった時代に、もういちどあの3人を立ち上げる物語として構想されたモダーンなチャーリーの天使ちゃんたちの映画に拍手。これからもぼくらを楽しませて、あっと言わせて、そして世界を変えてちょうだいね。
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